私は少しだけ霊感がある。


と言ってもいつも見える訳ではなくて、

大体が(何かがいる)ぐらいに感じる程度。


でも結構、感度はいい。


そんな私が高校生の時の出来事。


私は普段から寝つきが良いほうじゃなくて、

その日もいつものように

布団の中でモゾモゾ奮闘してた。


ふと時計を見ると2時半過ぎ、


(うわ~、明日起きらんねぇよ~)


とか思ってた時、

隣の弟の部屋のドアが開く音がした。


便所か?と思ったけど、

ドアのすぐ外でなんかムニャムニャ言ってたので

どうやら寝ぼけてるらしい。


戻してやろうかとも思ったけど

めんどいので放って置いた。


すると弟は相変わらずムニャムニャ言いながら

器用なことに私の部屋に入ってきた。


(ったく・・しょうがねぇやつだな・・)


ベッドの上に座りなおし

弟に声をかけようとした瞬間


ガツッ!


「うおっ!」


弟は何かを私に向かって振り下ろしてきた。


とっさの事だったが運よくかわし

(今思えば我ながらよくかわせたなと思う)、

後ろの壁に当たって鈍い音を立てた物を見ると、

なんと裁断バサミ!


弟はすぐに第二撃を繰り出そうとしている。


「オメーなにしてんだよ!!」


私は叫んで

振り下ろされようとしている腕をなんとか掴んだ。


その拍子に初めて

今まで暗闇でよく見えなかった弟の顔が見えた。


・・・白目を剥いていた。


同時に何を言ってるのか少し聞き取れた。


「・・今まで・・・に許せない・・・・

殺すまで・・・なのに・・・・」


まあぶっちゃけると

ほとんど何言ってるのか分からなかった。


少なくともいいことは言ってない。


(こいつ何かに憑かれてる?)


そう思いなんとか弟を組み敷いて

(憑かれたときによくある

力が異常に強いというのはなかった)、

目を覚ますために2・3発ぶん殴ってみるかと思った時、

急に部屋の電気が点いた。


振り返るとお袋が物音で目が覚めたらしく、


「なにやってんのあんたらは!!」


私は


「いや、こいつ(弟)の様子がおかしいんだよ」


と言って再び弟に目を落とすと

なんと安らかな寝顔に戻っている!


とりあえず起こして話を聞くと

恐ろしいことが判明した。


なんと弟は事の最中に意識があり、

あろう事か夢だと思っていたと言う。


でも勝手に体が動いちゃうし

どうせ夢だしまあいいやとか

思っていたらしい。


私は唖然とした。


(え?夢だからって兄貴を殺しそうになって

まあいいやってどういうこと?

しかも実際は夢じゃねぇし

あなた一歩間違えたら殺人犯ですよ?)


弟も流石に手に持っていたハサミを見て

青くなってたけど

結局寝ぼけただけなのか、

何かが憑いていたのか、

もしなにかが憑いていたとしたらそれは何だったのか

等疑問は残るが真相は分からない。


後日談もない。


しかし私はそれ以来、

霊とかじゃなく弟が怖くて仕方がない。


あの日あいつはあいつの意思で

私を殺そうとしていたとも考えられるから。


なぜならあの出来事の間、

私は一度も霊的な気配を感じてないんだよね。