私はラジオについて良い思い出がありません。
夜中にラジオをBGMに勉強していた所、突如電波が乱れだし、そのまま雑音と共に、琵琶法師による平家物語の弾き語りが始まったり、ある時は、私がお風呂に入った途端にラジオから大音量の叫び声がしたり…。

家族に言っても「お前が電波出してるんだろ」なんてふざけた反応しか返ってきません。
一番怖かったのは、私が高校生の頃、ある晩の話です。

私の親は夜中の仕事で、夜は兄と私の二人しか家にはいません。私達兄妹は仲が悪い事はありませんが、お互いに部屋にこもりあまり顔を合わせません。
当時、高3受験生だったこともあり部屋で何時間も勉強していた私は、気分転換にリビングに水を飲みに行きました。

その時『ザサー…ザ…ザサ』とどこからか異音が。

音源を探るとリビングの床に置いてあったCDラジカセからでした。
よく音を聞くと女の人の歌声だったんです。

『ザザザザッ…らぁー…ザ…らぁ~♪』

ノイズがうるさかったですがその声ははっきりと歌ってました。とても楽しそうに。
私は、母が昼間ラジオを聞いて電源を切り忘れたと思いました。
怖い話は三度の飯並に好きですが、元々怖がりなのでそれだけでかなりビビってました。
しかし、こんな事で兄を呼ぶわけにもいかず…。
勇気を振り絞りスイッチを消しにいきました。

そのラジカセに近付くと……

『らぁー!!♪!! らぁ!!!!!』

めちゃめちゃびびりました。
まるで、その歌声が電源を切らせないでおこうともの凄い大きな声になったんです。
怖い、もうダメだと思って兄の部屋に行きすぐさま応援を頼みました。面倒臭そうにでてきた兄に事情を説明するとこれまた面倒臭そうについて来てくれました。

兄を連れてリビングに戻ると、ラジオからは相変わらず歌声が…。

兄が近付いてもやはり…あざ笑うかのように大音量で歌うのです。
しかし、兄は気にせずにそのままラジオに手を掛けました。その時歌声は騒音か!? というぐらいうるさく…。

兄は冷静のまま電源を切りスイッチを引っこ抜きました。

しかし恐ろしい事に…まだ歌声は消えず……。私はただ兄の後ろで震えてました。

すると消えないラジオに対し兄は……思いっきり蹴りました。
ラジカセのカセットを入れる部分がふっとび壊れました。ようやく音も消えました。
………。

『んっ』と兄は言うと部屋に戻って行きました。

残されたのは半壊ラジオと私。怖かったですが引き止める訳にもいかず…。
その後は何もないですが、壊れたラジオがそれが夢でなかった事を語ります。

後に兄と、その日の夜について語ると『覚えてるよ。俺も怖くててんぱってたのかもなw幽霊が目の前に現れた日には殴りかかるかもしれん』と笑いながら語ってました。

長文失礼しました。文章化すると微妙ですが、私的には今でも鮮明に覚えてるぐらい怖かった実体験です。