去年の夏、福井県の某キャンプ場に友人四人で行った。


そこは目の前がすぐ海水浴場になっているため、

海のシーズンになると毎年このメンバーで訪れるキャンプ地だった。


夏の海を堪能し、夜はお決まりのバーベキュー。


ビールを飲みながら、

話題は尽きることなく楽しい時間は過ぎていく。


周りの談笑する声も夜が更ける程に少なくなっていた。


そろそろ自分達も寝ようかということになり、

テントにもぐりこむ。


波の音を聞きながら、ビールの酔いも手伝って

吸い込まれるように眠りに落ちていった。


「おい!」


その声で目が覚めた。


「水をくれ。」


テントの入口を見ると、だれかが立っていて、

入口から手だけをテント内に突き出してもう一度言った。


「水くれ。」


あまりに普通の会話の調子だったので


「ほらよっと。」


と自分の頭の上にあった水筒を手渡した。


先に起きた友達のうちのだれかだろう・・・


そう思ったから。


しかし、水筒を手渡してテント内に視線を戻してみると

友人3人、しっかり寝てる。


入口を振り返ると、去っていく足音もなく、

もうそこにはだれもいなかった。


すぐにテントからはいずりでて周りを見た。


明け方の静かなキャンプ場。


起き出ている者は自分しかいない。


よく考えるとゾクッとしそうだったので考えるのをやめ、

友人を起すのも気が引けたので、

砂浜を散歩して気を紛らすことにした。


散歩しなきゃよかった。


波打ち際で見つけたもの・・・俺の水筒・・・。