電話の向こう側でいないはずの人間の声が聞える。

という話しはたくさん聞くが、これもまたそういった話の一つである。

相方の友人の話しだそうだ。

仮にKとしておく。

高校時代、Kが自室で友人と電話していた時の話しだ。

「あれ、誰かいる?」

電話口の向こうで友人が言った。

もちろんKは自室に一人きり、特に騒がしく音楽を流したりしているわけでもなく、

テレビをつけているわけでもない。

「誰もいないよ」

「子供いない?小さい子」

思わず周りを見回す。

当然子供などいるはずもなく、首を傾げる。

「そっちじゃないの?」

聞き返すも、友人はそんな事は無いと言う。

「ほら、やっぱそっちだよ、そっちで子供の声聞える」

そう言われても、近所の子供の声すら聞えないこの状況で、

どうして電話で聞える程近くで子供の声が聞えるのか。

皆目検討がつかない。

「あ、増えたよ、何か話してる子供」

友人の言っている意味がわからない。

わからない分、妙な怖さが湧いてくる。

「子供なんていないよ!」

「でも増えてるよ、泣いてる子もいる!」

友人がその言葉を口にした途端、電話の向こうで友人の悲鳴が上がった。

と同時に切れる電話。

驚いたKはすぐ電話を掛け直したが繋がらず、結局その日はKに電話が繋がらずに夜が更けて行った。

翌日、学校にゲッソリとした顔で現れた友人から聞いた話によると、

電話の向こうで聞えていたはずの子供の声が、突然耳元で聞えたのだという。

同時に電気が消え、たくさんの子供の笑い声が部屋中に響き渡った。

友人の意識がもったのはそこまでだったそうだ。