ある蒸し暑い夏の夕暮れ時、

私は2階で昼寝をしていた。


すると


「ピンポ~ン、ピンポ~ン」


誰か来たようだ。


私以外家には誰もいないし

面倒くさいので無視して寝ていた。


「ピンポ~ン、ピンポ~ン」

「ピンポ~ン、ピンポ~ン」

「ピンポ~ン、ピンポ~ン」

「ピンポ~ン、ピンポ~ン」


それから、しばらく一定のリズムをつけつつ、

なり続けるチャイム。


なんだよ、しつこいなあ。


一体誰が来たんだ?


2階の私の部屋から玄関をそっと見ると、

白っぽい服を着た女の人が小さな女の子を連れて

チャイムをず~と押している。


宗教の勧誘か何かか、

全くもうしょうがないなあとりあえず出て断るかと思い、

下に下りて玄関を開けると誰もいない。


なんだよ、もう行ったのか。


せっかく出てやったのに。


もう1回寝ようと再び2階の自分の部屋で横になった。


すると、


「ピンポ~ン、ピンポ~ン」


また鳴った。


窓から見ると、またあの親子だ。


なんなんだ一体!


私はもう完全に頭にきてしまい、

半分キレぎみで下へ駆け下りた。


その間もず~と一定のリズムで鳴り続けるチャイム。


玄関のドアをバ―ンと開けて、怒鳴りつけようとして・・・・


誰もいない。


開ける直前まで確かに鳴っていたのに。


隠れる場所なんてどこにもないし、

どんなに足が速くても

一本道の突き当たりにある家から見えなくなるはずがない。


しばらくポカ~ンとその場で立っていると・・・


「ピンポ~ン、ピンポ~ン」


目の前のインターホンに誰もいないのにチャイムが鳴り響いた・・・


私はダッシュで家に入り、

家中の窓のカーテンをして鍵を閉め、

布団に入って震えつづけた。


それからしばらくチャイムは鳴り続けた。


もう1回窓から玄関を見下ろすことはどうしても出来なかった。