その廃校舎は出ることで有名だったらしい。
 

だけど、意外なくらい怖くない場所なんだそうだ。
 

周囲が住宅街という環境のせいか、空気にあまり淀みがないというか。
 

そう埃っぽいわけでもなく、湿気が多いわけでもなく。
 

でも出るらしい。
 

そこに友人が2人連れで行ってきたそうなんだが。

月も出ていて、持ち込んだ懐中電灯もそう必要ないかというぐらい明るかったそうで、

妙に薄い緊張感がなおさら薄く。
 

3階建ての校舎の1階から順に、一つ一つ教室を覗いていき、

階段を上り、2階も一巡りしてみたが特に何も無い。
 

それじゃ3階へ・・・というところで、階下から声が聞こえてきたそうだ。


さすがに一瞬ギクッとしたが・・・
 

どうやら声から判断するに、自分達と同じような連中らしく、しかもカップルの様子。
 

緊張感もなく、逆に楽しそうな笑い声さえ聞こえてくる。
 

ムードをブチ壊されシラける2人。
 

どうにも肝試しの雰囲気ではなくなってしまったので、
もう帰ろうかとも思ったところ、友人の連れがこう言い出した。

 

「あいつら驚かしてやろうよ」


確かにちょっとムカついていたので、友人もその話に乗ることにした。
 

驚かすといってもそう大した話でもなく、

懐中電灯の灯りを消し、わざと大きな音を立てながら階段を降りる。
 

それだけでたった今まで楽しげに聞こえてきた話し声がピタッと静まる。
 

カップルの居る教室は目星がついていたので、
1階に降りたところで足音を潜め、その教室の前へ。
 

カップルがいたたまれず教室から出てきたところをいきなり懐中電灯で照らしてやったそうだ。
 

でも、聞いてて「それは怖いだろう・・・」と思わされたよ


・・・そりゃ~もう・・・本気で驚かれたらしい。
 

ものすごい悲鳴が上がって驚かした本人達もビックリ。
 

本人曰く
 

「気絶した人初めて見た」


彼氏は気絶した彼女を置いて逃走。

彼女は受け身もとれずに床に頭を打ち昏倒。:
 

『ゴン』とかいう鈍い音がしたそうだ。
 

本人曰く
 

「死んだんじゃないかと思った」


結局救急車を呼び、彼女は病院へ。彼氏は戻ってこなかった。 その後は知らないが・・・
 

友人らは警察にこっっってりと絞られはしたが、

廃校舎は特に封鎖されるわけでもなく(一応元々から封鎖されてはいたものなんだが)

今も取り壊されずにそこにある。
 

ちなみに何が出るかというと、
 

「声がしたと思い教室を覗いてみると、クラス全員の子供達が整然と、無言で着席している。

 その暗い教室の中で、クラス全員分の光る目だけが無表情にこちらを見つめている。」
 

というものらしい。