東京で、私は

当時の彼女の部屋に転がりこむ形で同棲していた。


1DKの普通のマンション普通の部屋。


4階、あるいは5階だったかな。


特徴があるといえば、

部屋にボタンを押すと

電動で降りてくるベッドがあった。


ベットをある程度の高さ(180cmくらい)まで降ろし、

ハシゴをかけて昇る。


後は本当に普通で、

玄関を入るとキッチンとユニットバスがあり

そこを仕切る曇りガラスのドアを開けると

ダイニング(ベット、テレビとか)。


後は、ベランダ。


私はいつも夜勤で、

彼女は資格の学校に通ってたから

生活リズムは全く違う。


私が帰ると彼女はいないし、

私が出勤した後に彼女は帰るという生活。


顔を合わすのは土日くらい。


同棲してから大体一ヶ月後。


私がいつも通り、部屋に帰って、

ベッドに座って壁によりかかりながら漫画を読んでいた。


昼の12時くらい。


ドンドン、とよりかかっている壁を叩く音がした。


何回か繰り返された。


うるさいな、と思いつつ眠りについた。


その後、それが何回も続いた。


土曜日に、彼女にその事を話した。


隣の部屋の奴うるさいけど

どんな奴が住んでるのか知ってる?


少し、困惑した顔で私を見る彼女。


少し、間をおいて、彼女が喋る。


ここ、角部屋だから、

隣の部屋、ないよ?


そう教えられても到底信じられない。


部屋を出る。


隣の部屋を一緒に確認していく。


確かにない。


というか、まっ平らな壁。


でも、その外の壁から

明らかに私達の部屋の高さを叩いている音を、

私は何度も聞いた。


まー、なら気のせいだね。


そう話してその日は寝た。


やっぱりそれもお昼くらい。


夕方に目が覚めた。


壁を叩く音で。


二人ともその音で目が覚めた。


やっぱり、音するね。


不気味だけど、

そこまでうるさい音じゃないし、

二人とも気にせず普通に話していると

音はいつの間にか、鳴り止んでいた。


それからも、壁を叩く音は時々鳴った。


でも、慣れるもので、

怖さや不気味さは既になくなっていた。


それからだった。


私はいつも一人で寝る時は、

電動で降りてくるベットの上で寝ていた。


何か楽しいし。


ウトウトしている時に、

間の曇りガラスのドアが開いた気配がした。


あぁ、お昼だし

彼女が忘れ物でも取りに帰ってきたのだろう。


あれ?何か忘れ物?


と声を掛ける。


応答がない。


不思議に思い、

身を乗り出して部屋を覗く。


誰もいない。


ベットから降りて、

間のドアを確認すると、

確かに開いている。


ドア、閉め忘れたのかな?


玄関のドアは鍵閉めている。


その時、念のためチェーンもしておく。


間のドアも閉めて、

また電動ベットに登り、

ウトウトする。


やっぱり人の気配がする!


身をよじり、

部屋の様子を伺った時に見た。


曇りガラスの向こうで

ユニットバスに入っていく何かを。


背丈は140くらい?


いや、160はあったかも。


よく分かんない。


ちなみに、彼女は140くらい。


まー、いるんだろ、この部屋。


と思い、寝た。


やっぱ確認するの怖いし。





やはり、気のせいではなかった。


平日、仕事から帰り、

その次のは休みという事もあって

いつもより遅く起きていた。


夕方頃、そろそろ寝ようと思い、

布団を被ってウトウトしていた。


明らかに間のドアが開いた。


明らかに。


そして、開いたドアの向こうのユニットバス辺りで

足音が聞こえた。


こりゃ彼女だろ。


お帰りー!今日早いね


・・・反応がない。


身を乗り出してみても、

やっぱり誰もいない。


ドアは開いている。


いつも絶対間のドアは閉めているのに、

開いている。


もういいや。


いっそこのままドア開けっ放しにしよ。


また布団を被り、

さー寝るか!と思ったが、

寝れない。


なぜなら、人がいるからだ。


いや、人がいるんだと思う。


人の気配がする。


しかも、子供って分かるくらい、ハッキリと。


最初は間のドアの近辺をいったり来たりを繰り返していた。


ゆっくりとこっちに近づいてくる。


また玄関の方に行く。


を繰り返していたように思う。


結構眠かったので、

ウトウトしてきた。


あーこりゃ寝れる。


!!


明らかに、その子供?が

ベットの真下にいるのが分かった。


鳥肌が立った。


人生で明確にこういう体験をしたのは

生まれて初めて。


しばらく息を殺して。


時間が過ぎるのを待つ。


時計の音と外を走る車の音がする。


何分経ったのだろう。


気配が分からなくなった。


やっといなくなったか。


そう思った。


そう思った時

ふいに、足元に嫌な感じがした


見ると、ベットの塀に

子供くらい小さな手がかけられていた。


白いがハッキリとした手だった。


!!!?


バッと飛び起きる!


と、彼女が帰ってきた。


ベットから飛び降りた。


彼女を迎え入れた。


たった今起こった事を話す。


彼女はその場で、実家に電話をした。


実家のお母さんは、

この塩はホントに効果があるから、

正しく払い塩しているならそんな事はありえない、

と話していた。


なら、もう一度払い塩をしようと手順を聞いた時、

二人とも目を見合わせて止まった。


彼女がしたのは、払い塩ではなく、盛り塩だった。


そして、そのやり方は招き塩だった。


以来、そういった現象は一つも起こらない。