去年の三月、実家より高速バスでの帰宅をする弟を

池袋に迎えに行くために

ダンナと車で千某ヶ谷トンネルを通りました。


もともとそこがトンネルなどとは、

まったく予備知識も無く、

運転席にダンナ、助手席に私が座り、

車は池袋へと進んでいました。


夜の十時を回ったくらいでしょうか。


某スタジオを過ぎてガード内に差し掛かるあたりで、

地図を見ていた私が顔を上げると、

ガード真中あたりに白いワンピースを着た女の人が

歩いているのが映りました。


まだ時間も時間だったし、

駅も近いので大して気にもとめてなかったのですが、

車がガード内に入りその女の人を見たあたりに差し掛かると、

その女性のいたあたり(助手席の左ドア側)から

異様な寒気が左手側から首に向かって上がってくるのを感じ、

それと同時に何か分からない恐怖感がつき上げてきて、

なにがどう怖いか自分でもわからない内に、

私は『きゃ~』という恐怖の悲鳴をあげていました。


ダンナがその悲鳴にびっくりして、

『どうかしたの?』と聞いたそのとき、

私とダンナを前方からひんやりした目に見えない、

こんにゃくのような感覚をしたものが

『ずむっ』とゆっくり突き抜けて通り過ぎていきました。


トンネルを出た瞬間、ダンナと私は顔を見合わせ


『今のなんだったの?』


と言いました。


トンネルを出た後、車内はヒーターがかかっていたにもかかわらず

異様に冷え、私がかちかちと震えるほどでした。


それが何だったのか、今だ分かりません。

(そもそもダンナは女性を見ていないのです)が、

ふと思い出すとトンネルを入るときに見たワンピースの女性、

いまだになぜ女性と分かったのか不思議なのです。


顔を見ていなくて後姿とずっと思っていたのですが、

よくよく思い出すと、

顔と体の向きが逆だった気がするのです。


私たち夫婦は昼も夜も、そこは通らないようにしています。