「まあこんなものね、夢でも見てるんですよ。

玄関開けたら薄気味悪い女が立っているんですよ、

びしょ濡れの。


この時点でまず有り得ない。夢なんですよ。

だから俺はですね、ただいま!

と声を掛けたんです。元気よく。


そしたらその女は、ふーっと消えたんですよ。

夢ですから。そうですよね?有り得ないじゃないですか。


その後まずシャワーを浴びに風呂場に行ったんです。

水も冷たきゃ湯も熱い、やけにリアルな夢だなぁと。


急に照明がチカチカしたと思ったら湯舟が真っ黒なんです。

なんだろなぁ、とよく見たらさっきの女が沈んでたんですよ。浴槽に。

これには俺もびっくりしましたが所詮夢なんです。


風呂の栓抜いたら排水溝に全部流れていったんです。女ごと。

夢とはいえ気持ち悪いですよ?


んでビール飲んで寝ちまえば朝には目が覚めるかなーと。

冷蔵庫をあけたんですよ。

そしたらあの女が入ってるんですよ。すっぽりと。


笑うしかないですよね?俺は笑いましたよ。

この状況を先輩に伝えたくてですね、

電話したら留守電だったんで。

んで先輩、俺もう駄目そ…」



ここで留守電が終わっていた。


すぐに後輩のアパートに行きドアを叩くも返事がない。


大家さんに鍵を借り、部屋をあける。


誰も居なかった。


また彼が部屋に戻る事も無かった。


異様だったのは風呂の排水溝が長い髪の毛で詰まっており、

開いたままの冷蔵庫の中にも長い髪の毛が入っていた事。


警察は捜査後、失踪事件として扱い、

留守電のテープは押収された。