会社の寮での話。


ある社員が一人部屋でぼ~っとしていたら

『コンコン』『コンコン』とノックの音。


なんだかすごく眠いのでほっておいたらノブがガチャッと開き

顔色の悪い見知らぬ男がぬーっと覗いてきた。


だが、少し様子が変。


普通ならドアから中を覗く場合、顔が少しは傾くのだが

そいつは顔が垂直のまま覗いていた。


だが、首から下は姿が見えない。


なんだか不気味なので腹が立ってきたその社員は


「おい、なに人の部屋勝手に覗いてんだよ!」


と言って立ち上がりドアの方へ。


その途端、薄気味悪い男は顔をさっと引っ込めるとバタンとドアを閉めた。


追いかけようと思ってドアノブを回す。


だがドアは開かなかった。


ドアには鍵がしっかりかかっていた。


もちろん追いかけるわずかの間、

そいつが鍵をかける余裕なんか無かったし、

第一かけたならガチャガチャ大きな音がするはず。


慌ててロックを外して廊下に出てみたが、

そこには誰もおらず誰かがいた気配もまるでなかったのだそうな。