小学校のとき、

同じクラスにM君という子がいた。


M君は、クラスのだれとも仲良くしようとせず、

いわゆるつまはじき者だった。


優秀ってほどでもなかったが、

ある部分では鋭い頭のキレを見せ

算数と社会だけは常に100点を取っていた。


そして、忘れもしない、

夏休み1週間ほど前のある日


何事もなく授業をしている最中


最初に気づいたのは担任の松井先生だった


「おい、Mはどこに行ったんだ」


突然M君がいなくなったのである。


さっきの休み時間まで、

いや、今の授業が始まるときにもいたはずだった。


それが、M君の後ろの席や隣の席の生徒すらも

気づかないうちに消えていたのだ。


当然教室内はパニック状態。


「神隠しだ!」


などと騒ぐ生徒もいた。


結局、俺達は教室で待機させられ、

先生と学級委員だけが

他のクラスの先生とともにM君を捜すことになった。


その日はそのまま自習となり、

給食を食べ、休み時間が終わったあと

先生が教室に入って、俺達にこう告げた


「Mは図書室で見つかった。

具合が悪いそうだから今日は早退させた」


でも結局、それから俺達がM君をみることはなかった。


次の日も学校を休み、夏休みがあけると、

先生が一方的に


「転校した」


と告げ

俺達とM君の接点は完全に途切れてしまった。


夏休みが終わったあと、

妙な噂が学校に流れた


「M君は転校なんかしていない」


というのだ。


実は、隣の4組の生徒だけが真相を知っていた。


あの日、4組の生徒は、

校庭で体育の授業をしていた。


その途中、見たものは、

校庭の一番隅にある「開かずのトイレ」と

呼ばれる古い小屋で笑いながら叫ぶM君だった。


M君は先生に抱えられ、

どこかに連れて行かれたそうだ。


確かに、その開かずのトイレには、

夏休み前にはなかった大きな穴があいていて、

そこを木の板でふさいだ跡があった。


でも、子供の力で

開けられる穴じゃないくらいでかい穴だった。


あの日M君に何があったのか

今となってはわからない。