大学生の頃、一人暮らしをしていた。


6畳の1Kで、2階建てのアパートの1階に住んでた。


部屋自体にはそれほど不満はなかったが、

上の部屋の住人に問題があった。


とにかくうるさい。


安アパートなので足音響くのは仕方ないが、

それにしてもドン!ドン!とよく聞こえていた。


たまにキレて、音が聞こえた時に

天井をたたき返してやったこともある。


掃除機の棒の部分とかで。


すると音は止むんだが、

しばらくするとまた聞こえてくる。


音はだいたい夜の11時から12時くらいに聞こえた。


ひどいときは深夜2時~3時頃にもあった。


5分~10分くらい続いたと思ったら止んで、

2、30分してまた聞こえてくる。


よく聞くと、何か飛び跳ねてるような音だった。


部屋中、端から端まで。


あんまり続くので、

上の住人に文句言いに何度も行った。


でもいっつも出てこない。


昼間でも、夜でも。


音がした直後に行ったこともあるけど、完全無視。


まあ日付が変わる時間だから出てこないのもわかるが。


半年たって、我慢が限界に達した。


とにかく頻繁にあったんでムカついて、

中の住人が何やってんのか気になり出した。


それである日、確かめてみることにした。


ドアスコープってあるだろ、中から外が見えるやつ。


ドアについてたやつは安物だったから、

ドライバーでこじ開けられるんじゃないかと考えついた。


つまり、音が聞こえてる間に

スコープを外してのぞいてやろうと。


ていうか犯罪だろ……orz


けどその時はマジムカついてて、

俺も普通じゃなかったんだと思う。


夜、音がしだした時にこっそり2階へ向かった。


マイナスドライバーを使ってスコープを外し、

中を見た。


中で、女が跳んでた。


若い女だった。


髪は腰よりちょっと上くらいまでの長さ。


そいつが飛び跳ねるたびに、

髪の毛がフワッと舞い上がった。


その光景にもびびったが、

さらにゾッとしたのは女の表情。


笑ってた……。


すげー満面の笑顔だった。


そいつが、人間なのか幽霊なのかもわからなかった。


でも、どっちにしてもロクなもんじゃない。


中の女に気づかれないよう、

そーっと部屋に戻った。


部屋に入ると、

まだドン!ドン!と音が響いてた。


そこにいたくなくて、

ファミレスで1晩過ごした。


それからすぐに引っ越した。


その後のアパートのことは何も知らない。


引っ越すとき大家に聞いたら、

2階には2年前から女子大生が住んでいるそうだ。


でも、髪型はショートカットだったといっていた。