かなり昔のことなのですが・・・


私は関西の田舎町に住んでいて、

その時は高校生でした。


何にもない普通の田舎町でしたが、

町の中央には川が流れていて

その隔たりで出来た両地区の温度差というか

不自然さを少し感じたときがありました。


私の家はたいそう古く倉があり、

家を改築するときにその倉を壊すことがきまり

中のものを確認しました。


いろいろと古めかしいものがありましたが

何故か紫の巾着袋に目がいきました。


横で作業している両親を尻目に

ヒッソリと持ち出したのです。


すぐには開けずに、

友達内でのいいネタになるかなと

後日友達を呼んで開封しました。


彼らをABCとします。


彼らとは小学生からの繋がりで

とても仲がよかったのです。


袋の中からはゲームのテトリスのブロックと言えば

分かりやすいでしょうか?


それを実体化した板状のざまざまの形のものが出てきました。


コの字だったり、一の字だったり。


また薄茶色であり、

各面には唐草模様が浮き彫りしていて

肌触りもよかったのです。


私たちのテンションが上がり、

何のために作られたのか?

どう使うのか?

材質は何なのか?

ということが私たちの脳内を駆け巡りました。


小一時間、それらを弄くってると

Aはもしかしたらパズルなのでは?と言いました。


なるほど、

パーツには凹凸みたいな固定できる部分があり

立体パズルなのかなと感じました。


代わる代わる繋げていくと

三面に囲まれた角が出来、

直感的に立方体が完成形だと確信しました。


しかし、そこからが難しくて進みません。


他のみんなはあきてしまい

時間も時間なので帰路につきました。


友達が帰ったあとも、

私はめげずにそのパズルと格闘していました。


数日後、

学校であのパズルの話をしようとしたら

Bは嫌がるそぶりを見せるのです。


そういえば心なしか

最近元気なさそうに見える。


詳しく聞くと

あれから、変な女の人が

自分の回りをうろつくようになったというのです。


その人は焦げ茶色の和服を来て、

黒髪を後ろで束ねているが

全体的に乱れている感じがしたそうです。


初め遭遇したときは、

後ろ向きに座っていて、

グミのようにあり得ない腰の曲がり方をして

こちらを見て笑ったそうです。


そして日に日に距離が近づいてくるらしいです。


私は彼が怖がらせようと冗談で言っていると思いましたが、

そうは見えない感じでした。


しかし、私もパズルにはまっていったので

途中でやめるわけにはいけませんでした。


Bは、あのパズルは何かある。


お祓いしにいこうとかいいましたが

私を含めた3人は笑ってごまかしました。


その数日後、

突然Bが学校に来なくなってしまいました。


何度も彼の自宅に足を運びましたが

会ってくれません


私はパズルは3分の2ぐらい出来ていましたが

気持ち悪くなり放置しました。


そしてBが登校拒否になって5日過ぎたときに

最悪の出来事が起きてしまったのです。


Cが交通事故にあい、

病院に緊急入院したと

担任の口から言い渡されました。


私とAはショックを隠しきれなく、

見舞いにいこうとしましたが

何故かCの母親にやんわり拒否されてしまいました。


私とAの心中は乱れに乱れて、

立て続けに仲間に起こった出来事に

今度は自分に災いが降りかかるのかと恐怖していました。


そして私達は親に内緒で

パズルを持って近くの神社に行く決意をしました。


私達は神社に足を踏み入れ

神主さんと対面しました。


神主さんにパズルがはいった巾着袋を見せると、

ぎょっとした顔をして凍り付いていました。


私達のこれまでの経緯を話し、

後は神主さんに聞いた話。


まず巾着袋に入っていたのは

パズルや玩具の類いではなく

以前あった土着の宗教の儀式用品であること


大昔はこの辺りでは独自な宗教を信じていて、

国の権力下に入ったときに

多くの人々が徐々に仏教に改心したり、

土着のしきたりや風習などを廃したが

一部の人は頑なに土着の宗教を信奉した。


時がたち回りの人は気味悪がり、

弾圧しようとしたが

家畜処理やゴミなどの汚れ仕事を容認することにより

その存在を許した。


そして川の向こうに彼らを住まわせた。


そしていつの間にか

厳しい差別が彼らに対して出来てしまった。


それは時代ごとに増していったという。


そして彼らの地区では

現世の差別からくる貧しさ、苦しさから

あの世にある楽園に目を向けた。


自分達は選ばれた選民であり楽園に行けるが、

ほかのものは苦界にいくという思想は以前からあったが

だんだん強くなっていった。


そしてその産物がこのパズル状のもので

最終的には立方体にやはりなるそうでハコと呼ばれていた。


かいつまんで言うと

このハコは楽園に行くための切符みたいなものだそうだ。


常日頃、楽園を夢見て、

身の毛もよだつ儀式をして

(死体を食べたり、生皮をはいだり)

魂を高めながら少しずつパーツを組んでハコを構築していく。


そして死の間際、

ハコを完成し安心して死んでいく。


そしてハコをバラして

同じことを繰り返していく・・・


私とAは放心状態でした。


このハコには、

人間の痛み苦しみ悲しみ怒りが凝結して凝り固まっている、

まさに負の根源。


だから災いが起きたのだと

神主はいいました。


何代も前の神主からほかのハコを回収してきて

すべて回収し終えたと思っていたらしいです。


私達はハコを神主に渡し、

お祓いを受けました。


後日Bもお祓いを受けました。


最後にハコは何の素材でできているか神主に聞いたところ、

それは聞かない方がいいと口を濁しました。


数年後、

Bは精神を病んでしまい精神病院へ。


Cは植物人間になっていたらしくそのまま。


Aは奇病で右目の視力を失い、

左目の失明に恐れている日々なのだそうです。