高校生の時の出来事です。


私はボランティア部に所属していて、

夏にある島へ1泊2日の研修に行きました。

(知っている人は知っている思います。T島です)


そこでは老人介護の知識や、

団体行動のマナーなどの講習があり、

それが終わると個々各自の部屋へ戻って行きました。


二日目の昼食後のことです。


だいたい研修の時は解散する前に

各自清掃を任されるもので、

私は女子トイレの清掃担当になりました。


そのトイレはそんなに広くなかったので

私一人でやることになったのです。


4つある個室の中で

一箇所だけ扉が閉まっていました。


私は誰かトイレに入っているんだと思い、

しばらく待っていました・・・。


が、10分経っても出てくる気配はありません。


(おかしいなー。腹でも下してるんかな)


と思い、もうしばらく待っていたのですが、

清掃にあてられた時間も限られています。


しようがないので


「すいませーん。水流しますよぉ~」


と声をかけ

水道の蛇口をひねりました。


相手からの返答はありません。


扉が開いている他の個室の掃除を済ませ、

残り一つです。


私はだんだんイライラしてきました。


ここを掃除しないと終われないのです。


前回掃除時間をオーバーしてしまい、

先生に怒られたことがあるので

だいぶあせってました。


今じゃあり得ないかもしれませんが、

時間に少しでも遅れると

揉み上げを掴んでエレベーターをされました。←揉み上げを掴んで上に引っ張る。


すごく厳しい先生でした。


ごめんなさい。話がそれました。


「あのー、掃除したいんですけどー。」


もう一度声をかけてみました。


相変わらず相手からの返事はありません。


(腹立つわー。コイツ、わざとやってるんか?)


と思い、ドアの下の方から個室を覗いてみました。


用を足しているなら普通足が見えますよね?


でも、見えなかったんです。


私はそいつが便器に乗っかって私を

驚かそうとしているんだと思いました、


(ドアから覗いちゃろー)


ドアの隙間を覗いてみました。


その瞬間、私は


「ヒィっ!」


と息を呑みました。


あっち側からも誰かが覗いていたんです。


バッチリ目が合いました。


私は腰が抜けそうになりながらも、

隣で男子トイレを清掃していた男子の所に駆け込み、

泣きそうになりながらも事情を説明しました。


その男子はそういうことに興味があるのか、

一も二も言わず、

すぐ女子トイレを見に行ってくれました。

(私は壁に隠れるようにしてトイレを覗いていました。)


でも誰もいなかったんです。


男子トイレはすぐ隣です。


こんなに早く逃げれるはずがないのに・・・。


心臓がバクバクしていました。


しかしもっとビックリしたことがあったんです。


その個室だけ洋式じゃなかったんです。

(なんでそうなってるんだか全く意味不明)


じゃあなぜ覗いたとき

足が見えなかったんでしょうか。


宙に浮いていたとでもいうのでしょうか。


それとも足がなかったとでも・・・。


ゾッとしました。


人間だったのか、幽霊だったのか、

それさえも分かりません。


考えれば考えるほど怖くなりました。


今でもあのときのことを思い出すと

全身の毛が逆立つような感じを覚えます。


あの目を忘れることができません。


目を大きく見開いて、

はっきりと私を見据えていました。


それから特に変なことは起きていないのですが、

もうその島には行けなくなってしまいました。

(海がキレイなのに・・・)