あれは俺が一番やんちゃだった厨房の頃の話。


俺の住んでいる地域には

古い幽霊が出るとの噂の沼がある。


まぁ、


「眺めていると水面に女の生首が浮かぶ」


とか


「池の水面から手が伸びてきて引きずり込まれる」


などというありふれた噂だったが…


その日、夜になったところで

友達とその沼に行ったんだ。


その時は、

まだ出入りも自由だったしね。


どうせそんなもの出やしないだろうと

沼の周りをぐるりと一周


最初にいた所まで来たところで

異変に気がついた。


沼を挟んだ向かいの岸に誰かいるんだ。


友達は全員近くにいるからおかしいな、

誰なんだろうと近づいて確認しようとした瞬間…


ドンッと背中を強く押された。


勢い余った俺は

そのまま二転三転して沼にドボン。


幸い、大して深くなかったので(腰くらい)

大事にならなくて済んだが…


後になって知ったんだが、

俺は、友達がふざけて背中を押したと思っていたんだが

友達曰く


「ドボンという大きな音がしてびっくりして見ると、

お前が沼に落ちていた」


らしい

よくよく考えると、

あの時近くとは言っても、

5メートル位離れていたから突き落とせるはずないだよね…


まぁ、今となっては

その沼もフェンスで囲まれちゃったから侵入不可能だけど…