私がまだ幼稚園に通っていた頃だと思います。


母とお風呂に入ろうとしたときの話です。


お風呂に入る直前、電話が鳴って、

母は


「先に入ってて」


といって

電話を取りにいったんです。


私は一人ぼっちで先に入っていたのですが、

話に花が咲いているのか、

母はなかなか入ってきませんでした。


私はちょっとしたいたずらっ気で、

湯船の中に潜り(といっても深くなかった)フタをして、

母が入ってきたところを驚かそうと思い、

待っていました。


しばらく(3分くらい?)湯船の中でじっと待ちかまえてると、

お風呂の扉が開いて、母が入ってきました。


ところが母は、

フタのしてある湯船には目もくれずに

お風呂の追い炊きを始めました。


「なんだーつまんないの」


私は思い、

自分でフタをあけて出ようとしましたが、

なぜか蓋が開きません。


私は


「お母さん、開けて!私入ってるの!」


と大声で言いました。


ところが母の返事はなく、

私の真上、つまりお風呂の蓋の上から

軽やかな鼻歌が聞こえるのです。


「ふふふ~ん♪は~やく煮えろ~ぉ・・」


驚かされたのは私でした。


煮殺されちゃうの!?


そうしている間も、

漬かっているお湯はどんどん熱くなっていきます。


死ぬのは嫌でしたので、

私は必死で叫びました。


「んざけんなよこのくそばばああーーーーが!!

さっさとここから出せっつってんだよ!!!!

ぶっころされたいのかーー!!?」


と、お風呂の中から

必死で押し上げようとしていた蓋が

急に軽くなりました。


蓋をどけてお風呂から顔を出してみると、

そこには誰もいませんでした。


恐ろしくなって

すぐにお風呂から出た私はさらに驚きました。


母は台所で夕ご飯の支度をしていました。


お父さんが帰ってきてお夕ご飯を食べました。


あさり汁が美味しかったです。


あの時入ってきたのは誰だったのか、

今でも思い出すと鳥肌が立ちます。