ある日見た夢。


男の子が何かを探していた。


あんまり必死なものだから私は


「何を探してるの?手伝うよ」


そう言うと男の子はこう返してきました


「名前を探しているの。お姉ちゃんの名前」


お姉ちゃんの名前?


そんなものを忘れるのだろうか。


と思いながら私も探す。


どこにも見当たらない。


その内暗くなってきた。


暗くなってきた、

という事はさっきまで明るかったのかな。


いや元々明るくはなかった。


何故だろう。


ああ影が私達を覆っているんだ…ふと後ろを見た。


後ろには三つ編みの女の子が居た。


すると男の子は大きな声を出して

逃げ回り出した。


次第に声とも判断がつかない

かなきり声になっていく。


私は怖くなって耳を塞いだ。


と、女の子が私を押し倒した。


「名前、見つかった?」


耳を塞いでいる筈なのに

聞こえてくる声はどこか重く背中がビリビリした。


名前なんて見つかるわけがない。


なのに頭には浮かんでいた。


「さとみおねえちゃん」


そこでハっと目が覚めた。


と、同時に私の耳元で


「あ」「た」「り」


少女の笑うような声がした。


さとみお姉ちゃんは私が8歳の頃、

私と、その弟とかくれんぼをしていて

隠れたまま出てこなかった

近所の三つ上のお姉ちゃんだ。


弟は小さかったので

お姉ちゃんの事を忘れているのかもしれない。


それを許してないのかもしれない。