今はもう取り壊されたホテルでバイトしていた時の事


そのホテル、老舗の高級ホテルで建物は古いが

格式は高くプロ野球チームの常宿でもあった。


俺はルームサービスとしてお客さんの対応をしていた。


まあ古いホテルと言うのは必ず何かしらある物で、

先輩から色々聞いていたが

幸い怖い思いは殆どした事が無く、

いくつか知らされていたヤバイ部屋に行っても

何も怖いと思ったことはなかった。


22時頃フロントから、

お客がわけの分からない事を言ってるから見てきてくれ

と連絡が入る


名簿で調べると

その部屋は航空会社の利用、

すなわちお客はキャビンアテンダント


部屋は先輩から知らされていたヤバイ部屋の一つ。


ヤバイ部屋というより

CAの部屋と言うことでドキドキしながらノックをすると、

裸にバスローブを着たCAがガバッと扉を開け、

兎に角入ってお風呂見て!と言う


違う意味でドキドキしながら部屋に入るとき、

まるでお風呂の湯気で押される様な圧迫感を感じた。


どうせゴキブリでも出たのだろうと

風呂場に入るといい匂いが、、、


いやいや別に何も問題は無さそうだ。


ゴキも居ないしなんだ?


洗面台の鏡見て!


曇っていて気が付かなかったが

良く見ると鏡に10㎝位の無数の髪の毛が貼り付いて、

思わずウォっと声が出た。


この部屋嫌な感じがするし

部屋換えて欲しいと言われた。


この状況を見て拒否する事も出来ないので

フロントに電話をして別の部屋を用意させた、


準備が出来るまで一人じゃ怖いから一緒にいてと言われ

CAが言うには業務用で割り当てられる部屋は曰く付きの事が多く

色々怖い思いをしたけど、

ここまではっきり変な物が見えたのは始めてだと


髪の毛以外にも見えた物があるけど

怖がらせるから言えないと。


部屋を移った後の片付けは俺の仕事、

風呂場の掃除も俺の仕事


鏡を見ると髪の毛は増えていた。


鏡を見てぞっとした


顔型に曇りが残り

その頭部に髪の毛が付いていたのだった。


それも3.4人


目を閉じ口を大きく開けた何とも無念そうな

例えれば突然の事故で死ぬ瞬間の様な顔


俺は腰を抜かしそうになり

掃除もほったらかしにして逃げ出した。


スタッフルームに逃げ帰り

暫くするとまたフロントから、

例のCAに連絡する様に言われ、電話をした。


”本当は黙っているつもりだったけど、

どうしても気になったから言うね”


”気が付かなかったみたいだけど、

実は鏡には髪の毛の他に5人の顔が写ってて”


”あなたが風呂場に入ったら

その5人が一斉にニヤと笑った”


”そしてあなたが風呂場から出てきたら

その中の一人だと思う人が付いてきて”


”あなたを上から見下ろしていた”


”今日は塩を身に着けて、

出来れば線香の1本でもあげて”


と言いやがった。


泣きそうになった。