これは俺が小学校6年の頃の話なんだが、

クラスで「コックリさん」が大流行した時期があった。


当時、俺は熱心なキリスト教徒で(今は無神論者)、

「コックリさん」は全く信じていなかった。


だからその中に混ざることは無かったんだが、

そのうちに「コックリさん」を行っているメンバーに

奇妙な現象が次々と起きるようになった。


全身を掻き毟ったり、

数名が同時に泣いたり、叫んだり・・・


奇妙な現象は学年中に広まって、

教師にも隠せなくなり、

まずはクラスの中で「コックリさん」を主導していたメンバーが

職員室に呼ばれていったんだ。


その後、学校全体で「コックリさん」が禁止となった。


これで丸く収まるかと思いきや、

事態は全く収束しなかったんだ。


単発的に発狂する人が1週間に2~3人現れると言う感じで

結局4週間たっても、

学校では「コックリさん」の話で持ちきりだった。


それで、

「コックリさん」を面白がって

噂話に尾ひれを付けて

ペラペラ話す奴に限って数日後には発狂していた。


不安は伝染し、

夜眠れない生徒が続出。


登校拒否する生徒まで出始めたんだよ。


学校側の対策として

「コックリさん」に参加しただけの人も

事情聴取で先生に呼び出されて、

結局のところ、自分以外のクラスのほとんどの人が

先生に呼び出されると言う結果になった。


俺は「コックリさん」は信じていなかったんだが、

みんなの心境の変化にはすごく戸惑い、

人間不信になっていったんだ。


そんな中、

ある日先生に「コックリさん」についての話があると言われ、

自分一人で職員室まで行ったんだ。


先生の話を要約すると以下のような話だった。



・Yちゃんが主導で行われる「コックリさん」に参加した人は、

かなりの確率で発狂しているということ、


・Yちゃんは「コックリさん」とかが大好きらしく、

小道具も色々揃えて行っていたということ


・Yちゃん自身は発狂していないということ



そして最後に、

もし現在も「コックリさん」をYちゃんが続けているのならば

教えて欲しいと先生に頼まれたんだ。


先生も俺が宗教上「コックリさん」を全く信じていないことを知っていたから、

頼みやすかったんだと思う。


もともとそれなりに仲の良いYちゃんを裏切るみたいで気は進まなかったが、

正直「コックリさん」の件では、

自分が仲間はずれにされていると気持ちになることもあり、

この申し出は受けることにした。


次の日、

俺はYちゃんにいつもどうり気軽に話しかけて見た


俺「いや~、しかしコックリさんってすごいね。

学年中がこんな騒ぎになるなんて。

これってもはや"呪い"に近いよね」


Yちゃん「怖いよね~。まさかこんなに騒ぎになるなんてさ~」


なぜかYちゃんは

それが自分の成果でもあるように嬉しそうだった。


俺「俺もちょっとだけ興味があるんだけど、

それって結構難しいの?」


Yちゃん「興味ある?ホント?じゃあ、今度やって見る?」


Yちゃんはとても嬉しそうだった。


学校から禁止されていることなどは、

お構い無しである。


俺「ああ、機会があったらね。

でももう、学校ではできないじゃん。

どこでやるの?」


Yちゃん「S美の家で。今すごいよ。

私達かなり本格的だよ。

明後日もやるから来てよ」


俺「S美?S美がそんな環境を作ったの?」


Yちゃん「環境はその場で作るのよ。

道具は私が持ち歩いているから」


と、俺に小道具が入ったバックを見せてくれるYちゃん。


水晶玉とか、タロットカードとか・・・

いかにも少女マンガに出てきそうなグッツが一杯入っていた。


俺はその場では適当な回答をして、

とりあえず今回は辞退すると言うことを伝えた。


Yちゃんは残念そうだが、

俺の腹の中は決まっていた。


グッツがしばらく無くなれば、

万事解決じゃん!!って。


放課後にみごと盗み出した俺は、

卒業まじかに返そうと思って

そのまま机の奥深くへ封印!


Yちゃんは次の日、大泣きしていたが、

その後、発狂する生徒もいなくなり、

「コックリさん」自体のブームが完全に去った。


俺はと言えば、

バックがだんだん返しずらくなり、

どうせ中学も同じ中学だから

機会があるときに返せばいいかと、

返さずに机の奥深くにいれっぱなしにしていた。


そして、そのままバックの存在を忘れて卒業してしまった。


それから数年経ったある日、

お気に入りのペンが無くなり、

机の奥を探していて

Yちゃんのバックを見つけたんだ。


懐かしい。


罪悪感など無くなっていた。


あるのは懐かしさと思い出のみ。


空けて見ると、

タロットカード、水晶玉、ライト、鏡、汚い櫛、

わら人形、変な箱、

よくもこんなに本格的で高そうな物を集めたものだなと感心する。


もはや返す気も無いので

ライト以外の物は、その時にすべて捨てた。


ライトは金属製で、

軍用みたいに頑丈そうだった。


ライトをつけて見ると・・・

電池は小学校の頃から一度も変えていないのに

物凄く明るかった。


これは使えると思い、

非常用に取っておくことにした


で、またしばらく経ってから、

ふと思い立って夜中に真っ暗な部屋の中で

ライトをつけて見たわけ。


・・・驚いたね。


ライトを照らしたところだけ(正確にはライトから壁までの間に)、

部屋の中に雪が舞っているんだ。


なんだこれ・・・窓も空いているし、埃じゃないよ。


大粒の雪が降ってくるんだよ。


おかしいと思って部屋を明るくすると

まったくそんな気配は無い・・・


別のライトを部屋でつけて見ても、

そんな現象は起きない。


怖くなってそのライトは捨てたが、

今思えば、本当に呪いのグッツを

彼女は持っていたのかもしれないと思った。