山を切り崩したようなところに小さな動物園があり、

某市内からそこに行く途中の坂道に巨大な仏像が出て来る。

最近は 怖くて近付いてないが 木々の上の方から顔が覗けるぐらいにはでかかったかと記憶している。

雨が降る夜など不気味過ぎて近づけない。

しかし不幸なことに通り道に立っているので、その近くを通るとどうしても見てしまうのだ。

その名は

『怨み増す像』

その仏像の名前の由来は…。

私が高校二年の頃だから今から二十年も前。

全校集会で ある三年女子の悲報が伝えられた。

ある駅近くの曲がり角で大型ダンプに巻き込まれて 即死だったらしい。

当時 朝 自転車にて登校中だった先輩(以後Aさん)は制止する警備員を無視し

吸い込まれるように 左折する大型ダンプに突っ込んでいき 自転車ごと巻き込まれた。

その遺体は 相当酷いものだったらしい(一緒に登校していた友人談)。

Aさんの父親は 半狂乱になり ダンプの運転手の自宅の番号を調べ上げ

毎日毎日朝から朝まで 休むことなく 電話をかけた。

「娘をかえせ」

ダンプの運転手は自殺した。

それでもAさんの父親は電話をかけ続ける。

「娘をかえせ」

今度は運転手の奥さんが自殺(命は取り留めた)。

するとAさんの父親は今度は大きな仏像を作った。

ダンプの運転手の自宅は 隣の市(境目の場所。現在は同市内)にあったが

その家から見えるように大きな大きな仏像を作った。

「娘をかえせ」

と怨みを込めて。

それが『怨み増す像』。

ちなみにこの事件は裁判にまで発展したが Aさんがダンプが左折したのを確認した上で

無理やり横断歩道を渡ろうとしたということで運転手側は罪に問われなかったようである。

二十年経った今はAさんの父親は

Aさんを止められなかった警備員を訴えている。