友人と飲んで寝ていた夜。がさごそと動く気配と、からころと窓を開ける音で目が覚めた。

窓の方に目を向けると友人がベランダに出て、そのまま欄干を越え、飛び降りようとしていた。

「おい、なにやってんだ馬鹿!」

叫ぶと友人はゆっくり振り返り、不思議そうな顔をすると

「ここからしか出られない」

と言った。やばい、酔ってる。布団をはねのけ、友人の肩をつかんで室内に引き戻す。

友人はまだぼんやりしていたので平手でほおを張る

「目を覚ませ馬鹿!」

やがて正気になった友人は言った。

「なんか真っ黒な部屋の中にいたんだわ。その部屋扉とかなくてさ、出られないの。

やばいなぁ、って思ってふと見ると壁に1つ、小さな小窓があってな。

ああ、あそこから出られる、って出ようとしてた」

酔っていたとはいえ危ない話だ、一歩間違えれば死んでいる。

「顔洗ってくるわ」

そう言って洗面所に向かう友人の背中がゆらりと揺れた気がした。

そして気がつくと真っ黒な部屋にいた。

部屋は狭く、もの凄い閉塞感がある。外に出なければならない。

強くそう思うのだが部屋には窓もない。ふと見ると大きな扉がある。

しかしとにかく出ようと扉に手をかけても開かない。

鍵がかかっているのだ。

ふと足元を見ると鍵が落ちている。

恐らく扉の鍵なのだろう。

良かった出られる。

鍵を拾った私は扉を開けようと鍵穴に鍵をさそうとする。

「なにやってんだ馬鹿!」

誰かが叫ぶ。

「鍵を開けなきゃ」

つぶやいて鍵をさそうとする私。次の瞬間もの凄い力で後ろに引っ張られた。続いてほおに走る痛み。

気がつくと元の自分の部屋だった。

「どういうこと?」

問う私に友人が言う。

「顔洗って部屋に戻ってみたらお前がコンセント見つめてぶつぶつ言ってたんだよ。

何してんのかと思ったらいきなりピンセットを差し込もうとしたから引き離して殴った」

鹿な酔っぱらいが2人、死にかけた話。

・・・で、片付けるには怖いよね、この話。