私がまだ小学校の低学年だった頃の話です。

元気よく帰宅した私。

「ただいまー!」

母の声は2階から。

「おかえり」

どうやら上で何かをやっているらしい。
のころの私は他の同世代がそうであるようにファミコンに夢中(懐かしや8bit時代!)。

この日も家に帰るや、靴を脱ぐのももどかしく、テレビのある部屋に直行、ゲームを始めました。

10分後くらいだったでしょうか。

「ねぇ○○(名前)ちょっと手伝って」

2階から母の声が聞こえてきました。

ちょっと手伝ってといわれても私はゲームで忙しい、ホイホイと従ったりはしませんでした。

「えー、なにー? 今忙しいから後で行くー」

そんな生返事をするだけで動く気はなく、あくまでゲームです。

更に数分後ぐらいだったでしょうか。

「ねぇ、手伝ってってば。またゲーム隠すわよ」

母の声、来ました『ゲームを隠す』という切り札を切ってきました。

また、といっているように当時私はゲームをやりすぎたことが両親の怒りに触れ、

ゲーム機の本体を隠されるという罰を受けたことがあったのです。

ゲーム機を隠されるのは辛く、哀しいことでした。

親が出かけているうちに家中ひっくり返してゲーム機を捜索しても見つからず、泣く泣く我慢をするのはもうゴメンです。
 
仕方なく私は母の声に従いました。

「なんだよもう」

ゲームはポーズをかけ、渋々声のした方へ。どうやら2階の奥の部屋のようです。階段を上る私。

「何手伝えばいいのー」

「うんちょっと重たくてー」

重たい? 何をやってるんだか。考えながら階段を上りきり、奥の部屋に向かおうとした、ちょうどその時でした。

がちゃ

玄関の開く音。そして。

「ただいまー」

という母の声。なに? どういうコト?

「買い物の荷物運んでー」

混乱する私をよそに玄関から母がいう。

がちゃ

また音。こんどは奥の部屋の扉が開く音。

そして開いた扉の隙間からこちらを伺う真っ白な顔。

妙に黒目が大きく、生気のない、顔。ゆっくりとその口が動く。

「アト少シ」

機械の合成音みたいな声。

泣き叫び玄関に駆け出す私。

突然息子が号泣しながら階段を駆け下り、自分にしがみついて泣いているのを何事かと思う母。

忘れられない、白昼の怪異。

友人に聞いた話なんですけどね。もちろん「ソレ」が何だったのかとかは一切不明です。