栗田さんは一年ほど前に真っ黒な猫を拾った。

衰弱した状態で捨てられていたそうだ。

動物病院に連れて行って栄養剤等を打ってもらい、医者からは大丈夫でしょうという返事をもらい、

栗田さんは猫を自宅に連れ帰った、のだが・・・翌日に容態が急変してしまい、猫は死んでしまったという。

栗田さんは近所の動物を弔える寺で猫を供養してもらい、埋葬をしてあげたのだそうだ。

だが、黒猫がいなくなってなお、不思議と部屋の中からその黒猫の『臭い』がたまにしてくる事があるのだそうだ。

それからの一年、栗田さんは公私共に忙しく、次第に頭からその黒猫の事が薄れつつあった。

しかしある晩、栗田さんは寝ている足の裏をタワシでこすられたような感覚で目を覚ました。

ベッドの周りには何かがいる気配はなかったが、室内には、忘れかけていたあの猫の『臭い』が微かにあったという。

翌日、黒猫を弔った寺から、一周忌の通知が届き、前日が猫の命日だった事を思い出したという。

もしかしたら昨晩、足の裏をこすったのはあの黒猫だったのではないだろうか?

栗田さんは翌日、猫の墓参りに行ったそうだ。


この話しには続きのようなものがある。

栗田さんが拾った猫は、既にその日の内に貰い手が決まっていたそうだ。

病院に連れて行き、大丈夫そうならあげるという約束で、知人のHさんに話をしていた。

だが結局、猫は死んでしまい、Hさんの元に猫が届く事はなかったわけだが・・・

黒猫が死んだその日、Hさんが帰宅すると、Hさんの娘さんが黒い折り紙で何かを折っていた。

何を折っているのかHさんが尋ねてみると、娘さんは笑顔で「黒い猫」と答えたという。

なんだか黒猫が折りたくなって折り始めたというが、

Hさんは娘さんには猫をもらう話しはまだしていなかったのだというから不思議な話しだ。