俺の専門学校時代の知人、Pの話しだ。

毎年、Pの家には決まった時期、決まった時間に訪問者が訪れる。

その時期とは、残暑極まる盆。

時間は深夜0時。

何故そのような深夜に訪れるのか?

それは訪問者が何者なのかを考えれば、むしろ妥当な時間とも言える。

Pの父には親しい部下がいた。

父は良くその部下を家に連れてきては、酒を酌み交わして話をしていたという。

それほど仲の良かった部下だったが、ある年、その部下は交通事故で亡くなってしまった。

奇しくも真夏の盆中の出来事だったとう。

訪問者はその翌年の盆から、訪れるようになった。

深夜0時、突然玄関のインターフォンが鳴った。

こんな時間に何の前触れもなく訪れるなど非常識な人間だと普通は思うだろう。

Pの父はインターフォン越しに玄関にいるであろう者に声をかけた。

だが返事はない。

そうしているうちにまたインターフォンが鳴った。

父は不審者が悪戯をしているのかもしれないと思い、玄関の前が見える窓からそっと玄関の様子を覗いた。

が、玄関に人どころか、何もいない。

だが、インターフォンは再び鳴った。

父はふと、思い出した。

そういえば今日は、部下の命日じゃないか。

姿無き訪問者は数度インターフォンを鳴らすと、ぷっつりと消えてしまった。

父と一緒に窓を覗いていた母は、今のインターフォンを鳴らしたのは部下の人に違い無いと言い切ったそうだ。

Pと、Pの母には霊感があった。

それから毎年、必ず盆の命日になると部下の霊は0時にインターフォンを鳴らしに来た。

もはやその現象を不思議とも思わなくなったP一家は、今年も来てたね、などと話すくらいになっていた。

そして、ある年の盆。

そう、丁度部下の命日の日だった。

Pは居間で父と母と過ごしていて、丁度トイレに行こうと居間を出たところで午前0時を迎えた。

ピンポーン

Pが玄関へ出たところで、インターフォンが鳴った。

そういえば今日は・・・

思い出したPが玄関の方に顔を向けると

そこには顔があった。

見覚えがある、顔があった。

玄関いっぱいと思えるほどの巨大な顔が・・・

顔はPの見ている前で、すっと消えていったという。

どういうわけだろうか、その年を最後に、真夜中の訪問者はインターフォンを鳴らす事をやめた。

現在、Pとは音信不通になっている。

最後に交わしたPとのメールは、『愛猫が死んだ』

それ以降、まったくPとの連絡は取れなくなってしまった。

Pは家内でも様々な現象にあっていた。

突然壁に立てかけてあった鏡が前のめりに倒れたり、Pだけしかいない家内から階段を昇る足音が聞こえたり・・・

俺は心配でならない、Pの身に何かあったのではないかと。