その夜、僕は居間に置いてあるパソコンでネットゲームをやっていた。

0時を過ぎたあたりだったと思う。

ふと、背後に気配を感じ、振り向くと……

隣の部屋で寝ていた息子が立っていた。

そして僕を見ながら言う。

「喉が乾いた」

僕は一瞬、頭が真っ白になった。

……が、冷蔵庫を開けて、コップに冷やしたお茶を注ぐ。

そしてそのコップを息子に手渡しながら言った。

「これを飲んだら出ていって」

息子は「うん」とうなずくと、コップを両手で受け取りゴクゴクと一気に飲み干す。

そして、コップを僕に返し、

「ありがとう」

というと、トコトコと歩いて部屋に戻り、また眠ってしまった。






息子は当時一歳になったばかりで、まともに歩くこともしゃべることもできなかった。




翌朝、目を覚ました息子は普段とまったく変わりなかった。

どうやらちゃんと「出ていって」くれたようである。