―こんなビデオなんて見なければ良かった―
私は死ぬほど後悔しました…。
怖い話や怖いビデオは霊を呼んでしまうと言います。
私がビデオを見ているテレビ画面、
その画面には私の背後のドアのすき間から
じっとこちらを見ている青白い顔をした女性がはっきりと映っているのです。
事の始まりはある年の夏の日の事です。
当時小学生だった私は、いつものように仲良しのS君(以下セバスチャン)と一緒に下校をしていました。
途中のお墓でかくれんぼをしたり、
お墓に落ちていた人形でキックベースをしたり、マンホールをシュルルっとしたり、
一家心中があった廃虚でだるまさんが転んだをしたりして、遊びを満喫しながら家に帰りました。
両親が共働きで自宅には誰もいません。
何をしようかな…と部屋を見渡すと、テーブルの上に高校生の兄が借りて来たDVDが置いてありました。
ドキドキしながら中を見ると、本当にあった呪いのビデ○オ(※注)があります。
※注 名称は伏せ字にします。
怖くはありましたが、まだ夕方で陽があったことと、
「DVDなのに呪いのビデオとはこれいかに」とテンションが上がったことから、私はそのDVDを見ることにしました。
そのDVDは実際の家庭用カメラで取られた心霊映像を集めたもので、
画質が悪いのが逆にリアルで怖く、気がつくと終わりまで見てしまいました。
部屋はいつの間にか暗くなっています。
チャンネルをテレビに変えようとリモコンに手をのばすと、屈んだ自分が映るテレビに何かが映りました。
テレビに映る自分の背後にはドアがあり、そこから女性が覗いているのです。
その女性は目と口が黒く窪んでおり、とてもこの世ものではありません。
しかも、DVDを見る前に怖いのでドアは確実に閉めたはずでした。
あまりの恐怖に私は気絶してしまいました。
数分後…数十分後…或いは数時間後なのか…
私は自分の体を誰かが揺さぶるのに気がつきました。
まだ気だるい体を起こすと…
そこには目と口が黒く窪んでおり、とてもこの世のものとは思えないお母さんが帰って来ていたのでした。
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