神主「お前ら二人は今後会ってはならん。特に二人きりで会うなどもってのほかだ。」

神主「この話は禁忌だ。集落の者や関係者は誰しもがこの話を避ける。」

神主「お前らも今日以降、この話はするな。」

その日は神社に泊まり、翌日、俺は東京に帰った。

Bはあの場所で死んでいたそうだ。

Aは外で狂っていたらしい。

そして、Bの遺体を廃屋から連れて帰った青年団の中で、1人が翌日事故で死亡。

2人が精神を病んで病院送りになったそうだ。

Bの死因はハッキリしていないが、外傷も無く病死ということでカタがついたそうだ。

あの家を警察に捜索されるわけにはいかない。

神主や町の有力者たちを巻き込み、事件にしなかったのだろう。

そしてAB母はあの事件以来精神を病んでしまい半年後に自殺。

AB父はAB母の自殺後すぐに心筋梗塞か何か、よくある心臓疾患で急死したそうだ。

あの年の秋、これは元々決まっていたことだが、祖父母家は隣町に引っ越した。

隣町とは言っても、40~50kmは離れている。

これであの集落との縁も切れた。

C一家も翌年には県内の別地域へと引っ越して行ったそうだ。

そしてこれは一昨日の話だ。

夜7時過ぎ、新宿で乗り換えの為ホームを歩いてる時、向かいのホームから視線を感じ、

見てみると一人の小柄なサラリーマンがこっちを見ていた。

18年振りだというのにひと目でわかった。

Cだ。

Cも俺に気付いていたようで、目が合うと怯んだような顔をして、

スタスタと逃げるように歩き始めた。

人ごみをかきわけ俺は走った。

俺「C!」

Cの腕を掴むと、怯えたような顔で俺を見た。

C「あぁ、やっぱり…。」

観念したCと二人、出来るだけ賑やかな場所へと思い、

歌舞伎町の居酒屋チェーンに入った。

後日談はこの時Cから聞いた。

俺は急遽3日程有給を取った。

この忙しい時にと上司には散々どやされたが、無理矢理もぎ取ってきた。

今日は身の回りの準備をしてからコレを一気に書いた。

心の準備みたいなもんだ。

Cは辞表を提出してきたそうだ。

何もそこまで…と思ったが、無理も無い。

俺とCは明日あの集落に行く。

本来ならAも連れて行きたいところだが、

内陸だったので先日の地震では大きな被害は出てない地域だと思うが

、道路状況はわからないのでスムーズに現地入りできるかが心配だ。

通常なら高速を飛ばせば3~4時間の距離だ。

俺はここ最近、ずっとBに呼ばれていた。

Bの夢を頻繁に見るようになったのは3ヶ月程前から。

それが徐々に増えていき、毎晩になった。

そして、この1ヶ月程はどこに居てもBの視線を感じるようになった。

人ごみの中、夜道の電柱の影、マンションの窓の外。

いつもBが見ている。

俺が視線を感じて振り向くと、影がサッと隠れる。

Bが呼んでいる。

あの家に行けば、何かがある。

恐ろしいけど行かなければならない。

Cも同じことを考えていたらしいが、Cはこのまま逃げたかったらようだ。

だが俺と出会ってしまい逃げることはできないと覚悟を決めたようだった。

逃げられるわけがないんだ。

大学3年の時、神主からもらった瓶詰めの水、あれが破裂した。

ジャケットの胸ポケットに入れていたので、

ガラス片で出来た傷がいまだにミミズ腫れのように残っている。

すぐ祖母に電話をし、そのことを話すと、

あの神主一家が事故で亡くなったらしく、

後継の息子たちも亡くなってしまったので神主一家の家系も絶えることになるだろうと、

静かに話していた。

そして、「お前も気をつけろ」と。

俺を護ってくれた神主が死に、神主が持たせてくれた大切な水が無くなってしまったことは、

俺にとっては死刑宣告のようなものだった。

そしてその翌日、祖父が死に、数日して後を追うように祖母が死んだ。

両親も死んだ。

必ず、大事な人の死の直前に、俺は嫌な夢を見た。

翌日か翌々日には、誰かが急に死ぬ。

そして、嫌な夢の内容は誰かが死んだ後に、Bの夢だったと思い出すのだ。

1ヶ月前、親友が急死した。

死の直前、親友から電話が掛かってきた。

久しぶりに話をした親友は精神を病んで居た。

そして、親友の口から、Bの名前が出た。

あの事件以降、あの話は誰にもしていない。

Bの名前など知るはずもない親友は、Bが怖い、Bがやってくると怯えていた。

詳しい話を聞く間もなく、電話は切れ、その直後親友は電車に飛び込んだ。

これで俺の近しい人間は、一人を除いて誰も居なくなった。

会社では友人など作らないことに決めている。

俺と親しくなると、災いが降りかかり呪術によって死に至る。

Cの家族も、全滅していた。

やはりあの瓶詰めの水は破裂したそうだ。

だがCはその時まで何も無かったので、

もう大丈夫だろうとタカをくくっていたらしい。

しかし、Cの家族は全滅してしまった。

そして、Cが一度抑えきれずにこの話をしてしまった大学時代の友人は、

話をした翌日に自殺をしたらしい。

俺とCが何故生きているのか。

簡単なことだ。

あの家に行くまで、俺たちの周りの誰かが死に続けるんだ。

何が起こるかはわからない。

でも、このまま俺たちが生き続けるわけにはいかない。

長くなったが、まともに読んでる人間はいないだろう。

目に止めてしまったことがきっかけになって

△△の呪術が災いをもたらす結果になってしまったら

それは申し訳ないと思う。

俺は俺の子を宿した妻を守りたい。