その頃、東京での仕事を辞め、暫く働かずにいたわたしは

よく二歳上の従姉妹のところへ遊びに行っていました。

『ねぇ、うちの子ね妙なこと言うんだ』

『妙なこと?』

ほどよい散らかり具合の中遊ぶ1歳半ばの我が子を指差して、

“幽霊見えるのかな”などと言いだし、わたしに同意を求めるのです。

『意味わかんない、なに?

お化け見えるの?』

『いや、あのさぁ

前にテレビで“お腹の中にいた頃の記憶がある子供”が居るって話見てさ。

聞いてみたわけよ』

ママのお腹の中にいた時のこと、覚えてる?

そう聞くと、“知らない”と首を振ったそうです

けれど

『何処から来たのかは覚えてるって言うの。』

『え?』

『“あそこに居たんだよ”って、指差したんだ』

友人は、頬杖をついて窓の外を指差して“見てみて”と

意味が分からなかったのですが、とりあえず立ち上がり窓の外を見てみました。

『彼処って、どこ?』

『あそこだよ、ほら…』

友人の指差す先、最初はどこのことを言ってるのか分からなかったのですが

目を凝らしてみて、ぎょっとしました。

その先には

『ぼ、墓地…!?』

大きくは無いのですが、小学校の隣には墓地があったのです

『ほら…あたし19ん時妊娠したじゃん?

死産だったけどさぁ…その子、あの墓地にいるんだ』

何でも、その子のお墓を指差して“彼処からきた”といったらしいのです。

あんにイタズラかからかってるんじゃない?と答えると

従姉妹は、死産の話はしたことが無いと言いました。

位牌も実家に置いてあるし、知っているはずがないと

『それでね、言うんだよ?

“ほんとは違うママのとこに行くつもりだったんだよ”ってさ』

笑いながら、変でしょ?と言われ返事に困りました。

なんというか…うん、なんといっていいか分からない。

そうとしか言いようが無い話だったのです。

『で、じゃあ何で違うママのとこ行かなかったの?って聞いたらさぁ、

何て言ったと思う?』

『な、なんて言ったの?』

ドキドキしながら問い返すと、従姉妹はわざわざ子どもを呼んで、

“何でママのとこに来たんだっけ?”と聞きました。

まだ流暢には喋りませんが、その子はキョトンとした顔をして

『あのね、まちがえたんだよ』

そう、確かにそう言いました。

わたしは一瞬言われた意味がわからなくて、つい え?と聞き返してしまったくらいです

『ね、ああ言うんだよ。ひどくない?間違えたって』

『間違えたって?う、生まれるとこを?』

『そうそう、

“ママにもう一回会いたかったんだよ”くらい言えってね』

“変な子でしょ?”と従姉妹はケラケラと笑い飛ばしました。

これは前世の記憶、というものなのでしょうか

もう最近はそんな話はしないらしく、産まれる前のこと覚えてる?と聞いても

知らない、と言うそうです。

本当に生まれ変わりなんていうことがあり、

あの時聞いた話が事実かどうかはわかりませんが、何となく不思議で妙な話でした。