小学生の頃、5人ぐらいで構成された仲良しグループがあり、そのリーダーになってるA君がいた。

勉強もスポーツもそこそこ出来ていつもニコニコしているから、人が集まったのだと思う。

性格も明るく、誘われたら笑顔で「行こうぜ!ねぁーに」と言うだけだった。

この「ねぁーに」ってのは彼の口癖のようで、遊ぶ時はいつも決まり言葉のように言っていた。

ある日気のなんとなく思ったので、彼にどうしてあんなに明るいのか聞いてみた。

彼はニコニコ笑いながら「楽しいじゃない、明るいほうが」と言うだけだったが、その目は笑っていないように思えた。

何しろ人の目を見て本気だ思ったのは、後にも先にもその時だけだったから。

翌年彼は転校し、みんな悲しみにあふれた。

それから20年ほど経ち、同窓会でほどよくアルコールが回ってきた頃「そういえば」と友人が話し始めた。

どうもA君と遊んでいたグループの子が同じ日に結婚したらしい。

その友人も詳しくは知らないが、遊びグループは中学に入ってもA君の家に遊びに行っていたらしい。

そんなことがあったのか、なんか奇跡だなと思ったとき彼の口癖を思い出した。

ねぁーに…

ねぁーに…

ネ、兄?