独りでアパートに住んでる大学生の男がいた。

ある日アパートの自分の部屋に帰ると、何か自分の部屋に違和感を感じた。

次の日も、またその次の日も違和感を感じた。そしてある日その違和感の正体が分かってしまったのである。

家具や小物の位置が微妙に外出前と帰宅後では変わっているのだ。

男には思い当たるフシがある。半年前に別れた元カノが、今でも執拗に電話してきたり、

外から部屋を見ていたりしていたからで、半ばストーカー行為に悩んでいたからだ。

男は、自分が外出している間に元カノが部屋に忍びこんでいると確信した。

確かに元カノは合鍵を持ったままだった。

証拠を掴むべく、男は部屋に隠しカメラを仕掛けて外出することにした。

「映像さえ残れば、警察にでも突きだそう」男はそう思った。

隠しカメラを初めて仕掛け外出した。帰りに念のため、ホームセンターで頑丈な鍵を買った。

開けるのに30秒、閉めるのに30秒かかるという完璧で強固な鍵である。

アパートの自分の部屋に戻り、そして早速新たな鍵を取り付けた。

部屋を見渡すと、この日は何も物色された気配はない。だが一応セットしておいた隠しカメラの映像を確認してみた。

映像を見ると、案の定元カノが侵入していた。映っていた映像は次の通り。

男が帰宅するすぐ前、元カノが合鍵で侵入。元カノは笑いながら、ナイフを持っている。

元カノはなんら部屋を物色することなく、押し入れに入った。

その直後自分が帰宅。頑丈な鍵を取り付ける。

隠しカメラの録画をとめる自分が映った。