僕は玄関に向かい、ドアを開けずに言った。
「Kちゃんか?」返事はない。構わず続けた。
「やっぱ俺を恨んでんのか・・・。」やっぱり返事はない。
急にまた気分が強烈に悪くなる。立っているのも辛い。
「話できないのか?前みたいな行動だけじゃなにがしたいのかわかんねぇよ」
返事はないが、続ける。しかしもう立っていられない。
「俺を殺したいのか」もう目を開くのもやっとだ。
「俺は死ねない」「俺死ねない」意識を保ちながら、何度も言った。
するとKの顔(ちょっとおかしかった)だけがぱっと目の前に現れ目を見開き、
「なんで」 とはっきり強めに言った。
心臓が止まるかと思った。俺は絶叫しそうになった。
「・・・・・っっ!!!」と絶叫を堪えて、Kから目をそらさなかった。
5秒くらい睨み合った後、Kの顔がふっと消えた。最後に恐ろしい形相をして。
体に力が入った。だんだん気分も良くなり立ちあがり、
「色々やんなきゃなんねぇ事があるからだよ!!」
と僕はドアに怒鳴った。完全に気が滅入っていた。
彼女に電話をして「大丈夫だった?」と泣きそうな声の彼女に
「あぁ、酔っ払いだった。」と返すと「よかった~・・・。」と安心した声を漏らした。
内心「全然良くねぇよ・・・・。」と思いながら「心配しすぎだって~。」と返した。
その夜、またKとSEXする夢を見た。
前と同じ気持ち悪いくらいの満足そうな恍惚な顔をしている。
今度は目の前が暗くならずに、「死ぬって気持ちいいんだって。」と言われた。
その後また目の前が暗くなって、「好き」という声が聞こえた。
そして目が覚めた。「うるせぇよ・・・」と言葉が漏れた。
恐怖と怒りで胸くそが悪かった。
とりあえずKの怨念は洒落にならないと思ったので、
僕はクラブ関係者で霊に詳しい人に話をきいてもらった。
その人はKを知っている。
「あ~あの子完全に○○にベタボレだったもんねぇ。」と言っていた。
今まであった奇妙な体験、夢の話まで全て話した結果。
「お祓いしよう」ということになった。
お祓いとは結構凄いもので、かなり効果はあるらしい。
僕はすぐ紹介された神社でお祓いしてもらった。神主さんに
「なにか霊に最後に言いたいことはないか」と聞かれた。
僕は「すまない」とだけ伝えて欲しい。と頼んだ。
「成仏した。」と神主さんに告げられ安心した僕は
その晩家に帰って彼女とゆっくりしてた。
でも心の何処かでKに対する罪悪感もあったのかもしれない。
それがいけなかったのか、Kは成仏していなかった。
彼女が突然、「いたい!なにすんの!?」と叫んだ。
僕は何もしていない。「今針かなんか背中に刺したでしょ!」と怒っている。
「なんのことだよ?どこ?」背中をみた。押しピンが刺さっていた。
家着のトレーナーごしだったのでそれほど深くは刺さっていないようだ。
次に彼女は「なんか吐きそう・・・・気分悪い・・・。」と言い出した。
「まさか」と思い僕は立ちあがろうとした。が、足に力が入らない。
そういえば僕も気分が悪い。
次の瞬間、2度にわたって聞こえたドアを殴りつける轟音が
バァン!!バァン!!バァン!!と何回も聞こえ出した。
トイレからはボコボコボコボコッ!!という水が沸騰するような音が聞こえた。
「成仏してねぇじゃねぇかよ!」彼女「うぅ・・・・なんのこと?」
僕はKが来たと確信した.
二人とも立つ事もできない。
しばらくして彼女が「きゃぁぁぁぁぁ!」と激しい悲鳴をあげた。
布団をかぶりうずくまり、「ベランダ!!ベランダ!!」と叫んだ。
ベランダを見ると、窓にべったり貼りついた人影が見えている。(曇りガラスだった)
Kか!?と思ったがシルエットは男のようだった。ピクリとも動かない。
次にまた彼女が悲鳴をあげた。「何これぇぇ!!いやぁぁ!」と布団の中でじたばたしている。
「なんなの!?なんなのぉ~~~!!」と言い彼女は吐き出してしまった。
たまりかねた僕は彼女を抱きしめ、「大丈夫だ。大丈夫。守ってやるから。」と言った。
僕は恐怖より怒りが沸いてきて、「いい加減にしろ」と言葉が漏れなんとか体を自由にしようと
体に力を込め気持ちを落ち着かせた。動く。と同時にベランダの影が消えた。
彼女に「落ちつけよ」と言い残し玄関に走った。
そしてドア越しに外に向かって、
「ふざけんな!!消えろ!!誰がお前のもんになるか!!消えろ!!」と叫んだ。
「地獄に落ちろK!!つーか地獄に落としてやっからな!!」僕は狂ったように叫んだ。
その後彼女の方を振り返ると、うずくまっている彼女を真横で四つん這いになって見ている
Kがいた.
「やばい」と思い彼女の方に向かおうとした。
その時、ドアの方から手が伸びてきて僕の服を掴んだ。
僕はその手を骨が折れるくらいに捻り曲げた。
すると「ぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」という嫌な叫び声が聞こえ、
彼女の横にいたKがものすごい形相でこっちに向かってきた。
「なんだよ!!こいよ!!ぶっ殺してやる!!」と叫んで迎えうとうとした。
しかしその瞬間に目の前が真っ白になり、視界が回復すると
目玉がおぞましい模様になったKがまさに目の前にいて、僕に抱きついた。
そして、僕の耳元で何かささやき、(聞こえなかった.)そして消えた。
彼女はずっと泣いていた。
僕も怒りと恐怖と悔しさで、何年ぶりかの涙を流して、
こぶしから血が出るまでトイレのドアを殴りつづけた。
その日はそれからは何も起こらなかった。
二人とも落ちついた後、僕は彼女にKの怨霊が何回か出た事を告げ、
「もうお前はこの部屋にくるな。」と言った。
彼女は「この部屋を引き払おう。出よう。」と言った。
僕は断った。「ふざけんなよ。誰が逃げるか。」半ば意地になっていた。
それに、何処に逃げてもKは追ってくる事を確信していた。
次の日、朝一番に神主に「成仏していない」と言いに行った。
ひとしきり謝られた後、一つおいて神主は僕に
「君はもう助からないかもしれない。」と言われた。
その日から3週間くらいは、毎日Kが部屋に来た。昼夜問わず。
抵抗できる時は抵抗したが、完全に体の自由が聞かない時は
顔中や首を舐めまわされたり、首をしめるマネをされたりした。
一度あきらめた時があった。もう無理だろうと。死を覚悟した。
「・・・わかったよ。もう殺せよ。」と言ってしまった。
Kは俺の頬を撫でながら「・・・フフ。楽しい。」と言いながら立ちあがり
ドアの方に歩いていき消えた。
塩を置いてもお札を貼っても全く効果がなかった.
コメント
コメントする