友人の男兄弟が体験した話です。

高校時代の二人は部屋を共同で使っていて、兄は下の段 弟は上の段で寝ていました。

ある日の夜、弟がバイトから帰って部屋に入ると普段は夜型の兄が珍しく、

イビキをかきながら寝ていたため音もあまり立てられず、

しかたなく自分も寝ることにしたようです。

ベットに入ったもののなかなか弟は寝付けず、薄暗い部屋の天井を見たり携帯をいじったりしていたそうです。

そんな時に部屋のドアが開く音が微かに聞こえ、

弟は『あ~ 母親かな。』と思い体を動かさず目だけをドアに向けたそうです。

するとドアの隙間の一番左上の角の辺りの位置から首をかしげる様な格好で髪の長い誰かが覗いていたそうです。

体は見えなかったそうで男か女かはわからなかったそうですが、家族の誰でもないとはよくわかったそうです。

つまり隙間に沿って両目が見え、下にでろんと長い髪が垂れている状態です。

あまりの不気味さに布団を頭まで被り、耳をすまして様子をうかがっていたそうです。

するとどうやら部屋に入って来た様で。

ヒタ、、ヒタ、、とゆっくりそれは近づいて来たそうです。

弟は冷や汗を垂らしながらギュッと目をつぶり『どうか去ってくれと!』と願い続けていたそうです。

しばらくすると辺りに気配が消え、

兄の寝息だけが聞こえている状態でホッとした弟は恐る恐る布団から顔を出してみたそうです。

すると何かが顔に付きました。

柔らかい髪の毛が顔をくすぐるように垂れていて、

『それ』は弟を覗き込むように首をかしげた状態で上から見ていたそうです。

おかしいのが二段ベットの上なのに腰から上まで見える事。背の高い男でも肩から上くらいのはずなのに。

それに顔は男でも女でもなく中間のようだったそうです。

あまりの恐怖に声を出したいにも完全に体が硬直してしまっていたそうです。

すると『それは』グググっと腰を曲げながら顔を近づけて来たそうで今にも顔が弟の顔に着きそうだったそうです。

『ヤバい、、。』と思ったその時

『ムガーー!!』

と下の段にいた兄が叫んだと同時に硬直が解け、弟は【それ】を殴ったそうです。

そして【それ】はセミの鳴き声に似た声をあげると同時にシャカシャカと音をたてながら、

下の段のベットの下に入っていったそうです。

弟はベットから出て部屋の電気を急いで着けると跡形もなく【それ】は消えていたそうです。

どうやら兄の叫びは寝言だったようで兄はいまだに寝ていたため、怒られるのを覚悟して起こしたそうです。

不機嫌そうに起きた兄に一部始終を話し、兄の声に助けられたと伝えたそうです。

兄は自分の叫びも認めようとせず、【それ】についても半信半疑の様で、弟には『お前の気のせいだ』と言うばかり。

ただ兄は自分が夢を見ていたと言ったそうです。

はっきりとは覚えてはおらず、唯一兄が覚えていたのは、

誰かに顔を踏まれる夢を見ていたそうです

弟が自立して家を出る時まで【それ】は再度出ては来なかったそうです。

ただ、多少の変化が【それ】が現れた日からあったそうです。

家にゴキブリとか虫が全く出なくなった事と、下の階の住人に足音がうるさいと言われる事が度々あったそうです。