456 :1/3:03/11/26 21:45
20代の時、バイクでの宿無しの旅にすごいハマってて、
大学の長期休暇のたびに、国内のいろんな所で野宿したり、優しい人の家に泊まったりして、楽しい旅をしていた。
そういう旅をしていると、『知らない人に泊めて貰う』事にすごく鈍感になって、
『カベのある所で寝られりゃドコでもいーや』位にしか思わなくなっちゃう。
(たぶん同じ事してた人なら共感してくれるはず)

で、とある超田舎で、野宿も出来ない所(野猿が出る)に辿り着いてしまい、どうしようかなと思ってるところに、
すごい優しそうなお爺さんが乗った車が急停止してきて、開口一番「ウチ、泊まれよ!」って言ってきた。
今思えば、いきなり『泊まれ』なんて言う人初めて見たな…ってちょっと疑ってた。


457 :2/3:03/11/26 21:46
完全に安心しきって、お言葉に甘えて泊まりに行ったら、予想通りのボロ屋。
でも、部屋に入ってすぐ物凄い大雨になったので、ツイてたなーって話しながら地酒や山の幸をご馳走になり、
風呂もご馳走させていただいた。

風呂から出ると、雨脚も強まっていて、
このまま2,3日泊まらせてもらうかな…って呑気な事考えてたら、俺の服がない。
爺さんに聞くと、「汚れてたから洗濯してやった。乾くまで俺の服を着ていろ」って言われた。
その服は浴衣みたいな服で、外に出られるような服では無かった。
流石にその勝手な行いにはかなり腹が立って、
「ドコに俺の服を置いてんだよ!大雨の日に洗濯したら出られねえじゃねえか!」って激怒して、
爺さんと揉み合いになりながら家中の部屋を探し回った。
部屋は居間を挟んで三つ。どこにも俺の服は無かった。
まだ探し回りながら、
風呂に入ってる途中にモノを盗る、完全に物盗りだ!絶対警察に突き出してやる!って思ってた。
その矢先、便所のドアを開けると、便所が変わった作りだった。
ドアを開けると便所があって、その向かいもドアなの。両側にドアがある。どう考えてもおかしい。
この先に部屋がある!って思ってドアを開けようとしたら、
爺さんが物凄い形相で後ろから組み付いてきて、老人とは思えない力で便器に何度も頭を叩き付けられた。
俺は物取りへの怒りより命の危険を感じて、全力で爺さんの顔面を殴りつけた。殺してもいいと思った。
爺さんは鼻の骨が折れたらしくすごい鼻血を出しながら、やっと俺は解放された。
でも、服や荷物が無い事には外に出られない。


458 :3/3:03/11/26 21:46
そのドアを開けると…中は異常な光景だった。
8畳くらいの和室の真ん中に分娩台?のようなベッドが置かれ、畳の上には無数のバイブ。
やっとこみたいな工具もあった。
部屋の隅には、黒ずんだ染みの着いたガーゼが詰め込まれている段ボール。それと、すさまじい異臭。
俺の服はその部屋に丁寧に畳まれて置かれていた。

なるべく周りを見ないように震える手で服だけを取り、着替え終わると走って外へ出た。
爺さんはまだ便所で気絶していた。死んでいるのか生きているのかどっちでも良かった。
玄関のドアを開けると大雨。でもかまわず停めてあるバイクへ一直線に走ると、なぜか雨が降っていない。
嫌な予感がしたが、バイクに跨ったままそのボロ屋の屋根を見ると、
何本ものホースを束ねて持った、白いTシャツを肩まで捲くった漁師風の浅黒い筋肉質の男が、
玄関に向かって水を噴射していた。
そいつは『なんでもない目』(としか言い様が無い)で俺を見ていた。
目が合ったのはどれくらいだったかわからないけど、すぐバイクでフルスロットル加速して逃げ出した。
それ以来、旅はやめた。


460 :追伸:03/11/26 21:54
後に、その土地は観光客もほとんどいないので宿もなく、野猿等が出るため野宿も出来ない。
しかし地理的に、パッカー等がそこで一旦休まざるをえない事が多いらしく、
ハードなゲイの方々がそこで集団で生活し、パッカー達を慰み者にしているらしい、という噂を聞いた。
でも、俺が見た光景はそんな生易しい物ではなかった。
宿無しの貧乏旅行をしていた人ならわかると思うけど、
泊めてくれた優しい人がゲイで少しイタズラされた、なんてのは、
パッカー達の間では『よくある笑い話』で片付けられてしまう事が多い。
だから、少しくらいのイタズラなら問題にされない事が多い。
『泊めてもらって、メシまで食わして貰ったんだから、少しくらいサービスしてもバチはあたらない』
そういったパッカー達の心理をホモの方々が狙う様になる、っていうのはわからんでもない。