840 :763 ◆MOBqqkAfh6 :2007/03/15(木) 05:38:20 ID:nyVgvoIt0
その後、裏Sの田畑が広がるだだっ広い場所に出ていき、
ポツンポツンと家が見えてきたところで、Kはバスを降りた。
バスの通り道はそのまま住民の主要道路となっており、そこしか大きな道はない。
その為、辺鄙を通り越したような感覚になる。
その時にすごく嫌な匂いがして顔をしかめてると、Gが「どうした?」と聞いてきた。
(めんどくさいので、「・・・らしい」とか、「・・・だそうだ」を多少省き、Kの話とします)
以下会話。

K「この匂いなん?めちゃめちゃくせーよ」
G「なんの匂いよ?ちゅうかお前、人の家の近くに来てめちゃめちゃ失礼やのぉ」
K「いや、なんやろ。なんか匂うやろ?わからんの?」
G「あ~、お前これ家畜の臭いやろ。牛とか豚とか飼っとるけん、そのにおいよ。気にすんな。
 あ、それとお前、さっきいらん事文句いうなや、後で俺が言われるやろうが」
K「いらんことって?ちゅうか遠いもんは遠いやろ。
 しかも怒られるって。あんなおばさんとか無視しとけや。全然知らんおばさんやし」
G「いや、お前が知らんだけやけね。
 俺とかは結構見かけたりするし、うちのオカンとかと知り合いかも知れんやろうが」
K「まぁまぁ、俺は関係ないけいいけん。しかも俺が言ったんやけ、お前が気にすんな。俺が怒られるだけよ」
G「あー、それと、お前うちに来たときに変なこと言うなよ。匂うとか臭いとか。おとんにぶん殴られるぞ」
K「言わんよ。さすがに」
G「いや、まじめに聞けって。うちのおとんメチャメチャ怖いけん、絶対怒らせんなよ」


841 :763 ◆MOBqqkAfh6 :2007/03/15(木) 05:39:10 ID:nyVgvoIt0
ここまで来て、さっきまでのGの不真面目さが消えてて、
Gの父親の怖さを凄く強調するので、Kはかなり緊張してきた。
その後Gの家に向かうことになったけど、バス停からさらに10分近く歩いてやっとつく。
さすがに文句言おうかと思ったけど、
家の前に来たことで、Gの両親に聞かれたら困るしと思い、何もいわなかったそうだ。
ただ、この時点でKはもう帰りかったらしい。
理由は3つ。
1、臭いがひどすぎる。
家畜の臭いは今まで嗅いだ事の無いぐらいの臭いだそうで、トイレの臭い匂いみたいな感じ。
2、家が凄い怖い。
木造の平屋の様な家で、日本家屋的なものらしいけど、家の色が『黒』。
別に真っ黒って意味ではないけど、黒っぽい感じ。
(これはAの家もそうだったけど、ただ薄暗い。
 都会育ちの奴には明るいのが当たり前だったから、とかそんな感じではく、
 木目調の色合いが、なんか『黒い感じのもののみで』って感じ)
3、お札びっしり。
家の玄関の扉をあけたら、靴を脱ぐ前の壁にお札びっしり。
(Aの家でも同じ感じだったが、葬式だったからと思ってたが、Gの家は不明)


842 :763 ◆MOBqqkAfh6 :2007/03/15(木) 05:40:28 ID:nyVgvoIt0
この3つのうち一番嫌だったのは、もちろん匂い。
2に関しては、外面が黒かろうが、中に入れば普通だったので気にしないから。
3に関しても、家の玄関の側面の靴置き場のみなので、家に入れば特に問題なし。
ただ、匂いだけはどうしようもない。
家の中だから安全という感じでもなく、少しはおさまってるだけで臭いものは臭い。
靴を脱いで居間に居たGの母親にあいさつをして、Gの部屋にむかったところ、
Gの兄貴が居たらしく、一緒に色々と遊んでたそうだ。
Gの母親もかなりいい人で、わざわざおやつやジュース等を持ってきてくれた。
その際に、「K君ちゅうんか?ほうか、Gと仲良くしいや。ね?」と言われたそうだ。
その後Gの兄が、「今日の夜は一緒に遊ぶか?」と聞かれた為、GもKもOKを出して遊ぶことになった。
ただし遊ぶと言っても、徒歩10分以内にあるものはバス停のみ。
何をするのか?とも思ったそうだが、
Gが「うちの兄貴おもしろいけん、いっしょあそぼうなw」と言われたので、楽しみにしていたそうだ。

843 :763 ◆MOBqqkAfh6 :2007/03/15(木) 05:42:02 ID:nyVgvoIt0
その後ぺちゃくちゃ話をしてると、Gの父親が牛舎から戻ってきて、
「おい、G、友人つれてこい。挨拶させんか」と聞こえてきたので、少々緊張気味にあいさつ。

あいさつも普通におわり、「おう、よろしくの。Gと仲良くしとけの」と言われ、
「飯準備するけ手伝え」の一言で、K、G、Gの兄で用意をしてたそうだ。
その時に「キーーーーーーー」って言う小動物の鳴き声に、Kは焦ってビクっってなりながら、窓の外、庭を見たそうだ。
そこでGの父親が、鶏の頭を切り皮を剥いで、調理用にしてたそうだ。
Kはめちゃめちゃビビッたらしい。
生まれて初めて、自分が食べるものを『家』で『殺める』事に焦ったのと同時に、
Gの父親がニヤニヤ笑いながら振り向いて、
「うまいもん、食わせてやるけんのぉ。自家用やからうまいぞ」の言葉に動きが止まった。
まぁ、確かに理解は出来てても、さすがに目の前で見るとちょっとヒク気持ちはわかる・・・。
でもK曰く、飯はめちゃめちゃ上手かったそうだ。
そのときには、匂いにも多少は慣れてるのと、料理の際の良い匂いに部屋中が包まれる為、気に留めなくなる。