俺は霊感らしきものは多分ない。

そうゆう奴ほど心霊スポット巡りが好きなもので、

俺は毎年夏には必ずと言っていいほど仲間内で心霊スポットに行っていた。

その日も、俺と友人3人(ABC)で山奥にある閉鎖された廃トンネルに行くことになった。

バイト先の先輩から話を聞いて無性に行ってみたくなったから。

先輩の話によると、そこは白い服を着た女の霊が出るとか、

トンネルから帰って来たら車に無数の手形が付いてたとか…

山奥に入り車を降りてガードレールを乗り越えると確かにトンネルはあった。

車一台が通れるくらいの、狭くて暗いトンネルが。

中は真っ暗で視界は0。携帯の明かりで中に入って行った。

横一列で並んで歩くこと数分、トンネルの半ばあたりで俺は違和感を感じた。

?「ボソボソ…」

?「ボソボソ…ボソボソ…」

何かが俺の「左耳」に囁いてる感じがした。息のかかる感覚もあった。

誰もいるはずない…

俺の左側はトンネルの壁だし他の3人は確かに右側にみんないる…

気のせいだ。

?「ボソボソ…ボソボソ…」

いや、確かに何かいる…

俺は悲鳴をあげた。

それに釣られ他の友人達も悲鳴をあげた。

俺「何か聞こえた!」

A「俺はお前にビビッたし!」

B「俺もだ!」

C「私も」

A「ビビらせようとすんな!」

信じてもらえなかった…

そしてまた歩き始めた。もうその声は聞こえてこなかった。

トンネルを抜けると、道はなく森になっていたので引き返すことになった。

今度はAが先頭に立ち、俺、B、Cと縦一列に並んで帰った。

Aが足早に歩いて行き、突然トンネルの半ばあたりで悲鳴をあげて走り出して行った。

その悲鳴に釣られ、俺達も悲鳴を上げながら走ってトンネルを出た。

Aに話を聞くと、誰かに背中を触られたらしい。

Aの後ろにいたのは俺だし、他の2も確かに俺の後ろにいた。

しかも、そのとき俺とAは5メートル程離れていた。俺はそんなに手は長くない…

さすがに俺達は怖くなった…

そのとき、トンネルの奥から何か足音が近付いてきた。

トンネルの中では誰ともすれ違わなかったし、トンネルを抜けても人がいた様子もない。

なのに足音は確かにに聞こえる…

近付いて来てる…

俺達はすぐさま車に戻り山を降りた。