これは妹が体験した話です。
怖いというより、悲しい話です。
妹が伊豆の海へ旅行に行った時の話です。


夜、結構歩きにくい岩辺を友達と歩いていて、(浜辺ではないので足場が悪い)花火をする場所を探していました。

で、前方にカップルが歩いていました。

会話は、なんかケンカのあとみたいなカンジで、口数は少なかったそうです。

妹は聞き耳たてて野次馬根性で会話を聞いてやろうとしました。

やっと聞こえた会話は

彼女「・・・ごめんね」

彼氏「いいよ、気にすんな」

彼女「でも・・・・・・・私のせいだし」

彼氏「いいって! お前のせいじゃないよ」

ってカンジな会話でした。

明らかに痴話ケンカのあとの会話みたいな・・・・


会話が特におもしろいものじゃなかったので別に妹は気に求めなかったのですが、ふと、気付くと、さっきまでいたはずのカップルは、消えていました。

足場の悪い岩場で、周りにはなにも隠れるところもありません。

転んで海に落ちたとしても音や声が聞こえるはずです。

妹は友達に

「前のカップルどこいったんだろうね?」

と聞いたところ、友達は

「え???前に人なんていないよ」

と言ったそうです。

どうやら友達3人中見えて聞こえていたのは妹だけのようでした。

妹はとっても怖がりなので、「気のせい」と思い込むようにしました。
花火の最中も妹はさっきのカップルが頭から離れませんでした。

花火のあと、ペンションに戻り、オーナー、他の泊まり客達とワインなどを飲みながら雑談しているとオーナーが

「そーいえば、この岩辺にカップルの幽霊がでるんだ」

と言ったそうです。

妹は酔いも冷めて、オーナーに

「その話教えてください」

と詰め寄りました。


オーナーの話では、何年か前にその岩辺付近でダイビングをしていたグループがあり、もぐっている最中に1人の女の子の背負っていたタンクが岩にはまっていまい、とるのも不可能、脱ぐのも不可能な状態になってしまって、助けを呼んでも、時間的に無理、彼女は残り少ない酸素がなくなり死を待つだけになったそうです。

その女の子の彼氏もそのグループにおり、彼氏は、必死にその彼女を助けようとしていましたが、どうがんばっても不可能でした。

彼氏は、助けるのは絶望的だと判断したあとに、意を決したように、自分も一緒に彼女の傍で、一緒に酸素がなくなるのを待って、死んでいったそうです。


それから、岩辺では、しきりに誤る女の子と、気にするなとなだめる男の子の幽霊が、亡くなった季節の夏になると、現れるそうです。


妹は、その話を聞いた後に、大泣きしたそうです。