深夜、俺たち二人は有る古びた洋館に忍び込んでいた。

といっても「心霊スポット」巡りなんてものじゃない。

俺たちがしているのは「お宝探し」。

俺はしぶしぶ付き合わされたのだが友人の目的は、

「こういったところに眠るお宝を探して金を得る!」

地下室の隠し部屋を見つけた友人は色めきたった。

「お宝発見!」

しかし俺はゾッとした、大量の人形がずらっと・・。

心臓にはよく無い。

「こいつはビスクドールだ!」
「何だよそれ」
「お前『ローゼンメイデン』見ていたのに」
「これは怖いだろ!」

まぁ保存状態がよく価値があるということでのってきた友人のバンに詰める。


「これは売れるぞ!」
「祟られるよ、憎まれてるかも」
「そんなこと無いよ」
「大丈夫だって」
「お寺にでも持っていってお払いを」
「そんなことしなくていいって」
「こいつらだって、あんな暗いところに居たら可哀想だろうが」
「あそこがこの人形たちの居場所だったかも知れないじゃないか?」
「あそこは危ないんだよ」
「まぁ、見ていろすぐに大金がはいっぞ」
「俺は知らんからな」
「大丈夫だから」

数日後、俺もアイツもなんとも無く日々が過ぎ、あの洋館が取り壊されたことを知った。

アイツは日々お宝探しに燃えている。




洋館に忍び込んだのは二人だが、人形を持ちだした後の会話に注目すると、不自然なところがある。

友人「これは売れるぞ!」
俺「祟られるよ、憎まれてるかも」
?『そんなこと無いよ』
友人「大丈夫だって」
俺「お寺にでも持っていってお払いを」
?『そんなことしなくていいって』
友人「こいつらだって、あんな暗いところに居たら可哀想だろうが」
俺「あそこがこの人形たちの居場所だったかも知れないじゃないか?」
?『あそこは危ないんだよ』
友人「まぁ、見ていろすぐに大金がはいっぞ」
俺「俺は知らんからな」
?『大丈夫だから』


『そんなこと無いよ』
『そんなことしなくていいって』
『あそこは危ないんだよ』
『大丈夫だから』

この言葉は「友人」と「俺」だけの会話としては少々不自然。

おそらく、これらの言葉は人形が言った言葉で、『あそこは危ないんだよ』と言っていることから、洋館が取り壊されることを知っていたのだろう。

「俺」が、こんなことしたら祟られるかも…と怯える中、『そんなこと無いよ、大丈夫だから』と言っていることから、憎むどころか感謝しているようだ。