うちの主人は26歳のときに独立して

自営業をおっぱじめました。


ある日の午後、小腹のへった主人はカップラーメンにお湯を入れ、

いざ食べようとお箸を持ったその時。


「すいませ~ん」


というお客さんの声。


「間が悪いな」


と思いながら、お店に出ると

高校時代の同級生(仮にA君としておきます)の姿が・・・。


「おぅ!久し振りっ!」


と、世間話をいろいろしていたそうです。


Aくんは俺も結婚して子供も産まれてなにかと大変なんだ、

などと言ってたそう。


世間話をしながらも、

頭の片隅にカップラーメンが気にかかっていた主人。


Aくんに


「そういえば、お前なにでここまで来たの?」


と聞いたそうです。


「え?自動車だけど?」


と言われて、なにかが気になった主人。


でも、なにが気になったのかは

その時はわからなかったそうです。


うちは、店舗兼住居状態のすみかで2階が住居部分です。


突然Aくんが


「ぢゃ、そろそろ俺帰るわ」


と席を立ったそうです。


「帰るわ」


という言葉になにかひっかかった主人でしたが、

カップラーメンが心配だったため、


「そうか。ぢゃ、またな。」


と、とっとと二階に戻っていったそうな。


当然、二階には汁を吸って

『あぁ~あ。』な状態のカップラーメンが・・・。


あぁ~あ。

と、思ったときふと、


あいつ、車で来たって言ってたけどどこに車止めてたんだろ?

エンジンの音したっけ??


と、思ったんだそうです。


いつきたんだろ?

俺、耳だけはいいんだけどな?

裏の駐車場のことはあいつ知らないはずだし、

仮に知っていても今日は雨降り。

あいつ、濡れてなかったよなぁ???


数週間後、偶然また別の同級生にあったそうです。


「おぉ~!久し振りっ!お前、今なにやってんの?」


以下、会話。


同級生:そういえば、Aくんが亡くなった話聞いた?

主人:え?Aってこないだ、うち来たぜ?


同級生:それ、いつだよ?

主人:つい最近だよ。〇日ぐらいだったかなぁ?


同級生:・・・・・


Aくんと仲がよかったその同級生の話では、

本当に急に亡くなってしまったようです。


風邪の菌が脳のほうにまわってしまい、

ほんの数日のあいだに、意識が戻らないまま。


Aくんが主人の店に姿を見せたと思われるその頃、

Aくんは、病院に意識がないまま入院していたということです。


なんでうちに来たのかわからないけど、

あいつ、心残りがたくさんあったんだろうな・・・。


と、言ってました。



でも本当に怖いのは、

そんな体験をしながらAくんのおうちに

お線香さえあげにいかなかった主人なんですが・・・