私は厨房時代、

運動部で朝練のため毎朝早朝に家を出ました。


駅に近付いた時、

歩道に思い切り寄せて停止した一台の車がありました。


私は歩道の中ほどではなく、

車道よりに前進していましたから、

そのまままっすぐ歩いていたら

車のすぐ横・スレスレの位置を通過するはずでした。


・・・が、その直前、

歩道に軒を連ねる商店の看板が急に気になり、

車道より→商店よりに、

ゆるくカーブするように歩を捻じ曲げて進んだんです。


すると、車のそばを通過する時

車のドアが バン!と音を立てて開き、

中から一人の男性が飛び出しました。


くわえて前方から(これはこの瞬間気付いたのですが)

猛スピードで別の男性が

こちらへ小走りでやって来る姿を見ました。


私が看板に気をとられず

車道よりのまま歩いていたら、

前方からの男性と、車からの男性と

二人の挟み撃ちに合っていたでしょう。


「あれ?え?何?」


と思ったものの、

結局何事もなく?私は歩き続けたのですが、

後方から、やがて


「ちっくしょう、失敗・・・っ」


という、男性のどちらかの声が聞こえました。


挟み撃ち→車に連れ込む→急発進(拉致)


充分考えられます。


今思い出すと、ちょっとぞっとします。


というか。


何であの時、突然商店の看板なんか気になったのかな・・・

と思うと不思議です。


毎朝通る道だから、見慣れた看板だったのに。


何かに助けてもらったのかなとも思っています。