夜勤のバイトを始めた頃の話。


慣れない昼夜逆転の生活をしていたので、

バイトのない日の夜中に街を散歩することがあった。


その日は近所の中学校(といっても卒業した中学ではない)

の横を通りがかった。


窓から校舎の中の様子が伺える。


と、言っても深夜なので当然電灯はついていない。


ふと廊下の奥のほうが明るいのに気が付いた。


立ち止まって見ていると、その明るさが移動した。


蛍光灯が一本だけついているようだ。


その蛍光灯はすぐに消えて、

その隣の蛍光灯が点灯した。


次はさらにその隣の蛍光灯が……。


そんな感じで蛍光灯がついていった。


不思議な現象だったが、

やがて廊下の端まで点灯していって

見えなくなったのでその日は帰った。


それからしばらくして

同窓会みたいな集まりの時にこの話をした。


話が終わった時、

その中学を卒業した友人がこんなことを言った。


「自分が中学生の時に校内に幽霊が出るという噂があった。

自分は見たことがないが、

深夜の校内を歩くだけの女の霊がいるらしい。

そして、その女の霊が歩く時、

女の上にある蛍光灯は点灯するらしい。」


と。


自分には見えなかったが、

もしかしたらあの時、

点灯した蛍光灯の下を女の霊が歩いていたのかもしれない。