俺が小学三年の時の話。


隣の家にボケた、お婆さんが住んでたんだ。


どのくらいボケてるかというと、うちの家の台所でご飯作ってたり、

座敷に布団ひいて寝ていたり。


田舎だから裏戸はいつも開けている。


それから、しばらくして婆さんは入院したんだが・・


夏休み、いつも楽しみにしていた

「おもいっきりテレビ」の怪奇特集を

その日もドアやカーテンを閉めきり布団を被ってみていた。


俺は一階の裏戸の近くの居間で観ていたんだが

なんか誰か外歩いてるんだよ。


ジャリの音するからね。


すぐ分かる。


俺の家にも婆ちゃん居てちなみに隣の婆さんとも仲良かったから

よく来てたってのも、あったんだが

うちの婆ちゃんも、ちなみに入院中だし、その時家族、皆出掛けていて

家は俺ひとり・・


誰かが裏戸開けようとしてんだよ

鍵閉めててよかった!!(笑)


んで、裏戸が開かないとわかると、

俺の家のまわりをグルグルグルまわりだしたんだ!


庭にはジャリが敷き詰めてあるから音でわかるし

何しろ、障子やカーテン越しに影がみえる。


どこも開いてないと分かると

今度は居間の窓をバンバンて叩きだして


「う~う~」

「中山しゃ~ん・・中山しゃ~ん・・」


とか叫んでいた。


声を聞いて、ますます恐くなった隣の婆さんの声だ!


俺は息をひそめ、端っこの方で震えていた。

(ちなみに俺の家の名字が中山〔仮名〕)


けっこう長い時間、婆さんは

歩き回り、何かブツブツいいながら、

そのうち居なくなった。


一週間後、隣の婆さんは死んだ。


その後も何年も道端で、その婆さんにあってたよ。


成仏できてないんかな。


ボケたまま死ぬと、死んだ事に気付かないのかね。