大阪に住む知人が、学友から聞いた話である。

知人の学友を仮に前田君とする。

前田君は去年の11月頃、休日を利用して市内でカラオケを楽しんでいた。

夜になりお開きとなった後、前田君は一人、ラーメンを食べて帰路についたそうだ。

帰り道の途中、前田君の耳に激しい罵声と物音が聞こえた。

それはどうやら先の路地からのようで、前田君は怖いもの見たさで路地をそっと覗いて見た。

明かりのない暗い路地には複数の人影が動いていた。

せわしなく動き、足元に向かって怒鳴りつけているようだったという。

どうも声や音から察するに、裏の世界の人間が集団で誰かをリンチしているようにしか感じられなかった。

警察に連絡をしないといけない、そう感じた前田君は携帯電話を取り出し、

警察に連絡をしようとしたが、何故か携帯が圏外になってしまった。

やきもきしながら前田君が再び路地を覗くと、そこにもう先程のガラの悪い人影はいなかった。

前田君はおそるおそる先程人影がいた場所に近づいてみた。

暗がりに目が慣れてくると、そこに、何かがいるのがわかった。

ひざを抱えて壁にもたれている、一見ホームレスのような人物がそこにいた。

ただ、その手足は異常と思える程細長く、顔がわからない程に毛がびっしりと生えていた。

あまりに異様なその風貌に前田君が声を掛けるのをためらっていると、その人物がすくっと立ち上がった。

その身長はゆうに前田君の二倍以上はあったという。

すくんで動けない前田君に、向かって、その人物が言った。

「くだらない」

その人物は前田君の見ている目の前で、路地の壁を四つんばいになって這い上がり、姿を消したという。