仲良しのシルバーアクセサリーショップの店長から、二つ体験談をいただいた。

仮に店長を須藤さんとする。

須藤さんが小学生の頃、近所に一軒家の廃屋があった。

人が住んでいた記憶はなく、窓や玄関に板張りがされ、取り壊されもせず打ち捨てられていたという。

好奇心旺盛だった須藤さんが友人二人を連れて、その廃屋に「探検」をしに言った時の話だという。

廃屋は一階建ての古い家で、まずは室内に入る為に廃屋の周りをぐるりと回ってみた。

だが隙間なく板が張られ、とてもではないが中に入れるような隙間はなかった。

須藤さん達はだめもとで窓に張られた板を引っ張ってみると、以外と簡単に釘は外れたという。

板の下の窓は割れていて、そこからは簡単に室内に入る事ができた。

放置された室内はかび臭く、衣服や工具が散乱していた。

須藤さん達は懐中電灯の光を頼りに一部屋一部屋見て回った。

すると、ある部屋に水槽が置いてあった。

何か飼っていたのか、水槽の中には汚れて腐った水が入っていたという。

何かいないかと水槽の中をしばらく三人で覗き込んでいると、水面にぽこぽこと気泡が浮いてきた。

何かいるのかと顔を近づけると、ぼこぼこと激しく気泡が湧き出した。
尋常ではないと思った須藤さん達が水槽から離れると、水槽の中で何かが動いたように見えた。

とっさに懐中電灯で水槽を照らすと、藻の剥げた水槽のガラス部分から、目のようなものが須藤さん達を睨み付けていた。

須藤さん達はぎゃーっと叫んで、我先に廃屋から逃げ出たという。

親に話せば怒られると思った須藤さん達はその事は誰にも言わず、

廃屋も結局、中学に入学する頃に取り壊され、更地になっていたそうだ。