私は登山が好きでよく父と登っているのですが、そのなかで体験した話を紹介します。
冬山に登ったときです。
父は元山岳部だったので、かなり本格的な装備でした。
そのため、山に入ったら二、三日帰ってこないこともありました。
冬山に登るときは、山小屋の中にテントを張って寝ます。
もちろん、そのとき、外には雪が降り、積もっていました。
夜中です。雪の上を登山靴で歩く音がしました。
すると、つれてきていた登山犬が鳴きながらテントの中に入ってきたのです。
「入ればいいのに。」
私は、外からする足音に対して思いました。
父は、見てくると言ってでていきましたが、すぐに戻ってきて、
「誰もいない。もう寝ろ。」と、私にいって眠ってしまいました。
私は、夜明け近くまで眠れませんでした。
その足音は丑三つ時過ぎまでずっと続いていたのです。
翌朝、やはり山小屋の周りには足跡が残っていました。
しかし、不思議なことに、その人がどこかから山小屋まで来た足跡、
そして、元の場所へ戻ってゆく足跡がないのです。
ただ、山小屋の裏に小さめのザックがひとつありました。
私たちはその日のうちに山頂にたち、下山しました。
その三日後のラジオで聞いたニュースです。
「○○山(私たちがこの体験をした山)の山中の山小屋で、
男性の首のみの遺体がリュックサックに入ってはっけんされました。」
コメント
コメントする